「メディアはほとんど指摘していないが、小保方さんは博士論文で、2010年に出た黒田論文(黒田康勝・東北大学大学院助教)にある、ヒトの骨髄や皮膚の細胞から誘導される多能性幹細胞『Muse細胞』(※注)の追試をやっていたようだ。

 しかし、追試だけでは話題にならないので、『完全に体細胞になったものでも同じことができる』と主張した。理研に移ってから、それが『分化しきった体細胞がリセットされてSTAP細胞という万能細胞になる』という論文に化けた。もとは黒田論文の真似なのです。

 このコンセプトを小保方さんと理研のどちらが主導したかはわからないが、理研としては特定法人指定を得るための有力な目玉が必要だったのでしょう。“魚心あれば水心”で、小保方さんの自己顕示欲と理研の思惑が合致したということ。

 ネイチャーにこの論文が掲載された経緯には、共著者に著名研究者が名を連ねていたことが大きいと思う。それらがすべて裏目に出て、世界の科学史に汚点を残すような大事件が起きたのに、彼女ひとりに責任を負わせるのか? 本来、トップが責任を取るべきことではないでしょうか」

【※注】もともと細胞内にわずかに存在し、皮膚や筋肉、肝臓などのさまざまな細胞に分化できる幹細胞。2010年に東北大学の出澤真理教授が発見し、藤吉好則教授が命名した。

※週刊ポスト2014年4月18日号

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