その新たな国家データベースを、仮に「ジャパニーズ・データベース(JDB)」と呼ぶとしよう。JDBは一人ひとりの国民が生まれてから死ぬまで、国家と関わる(契約する)すべての情報を集約したものになる。
行政システムの観点からすれば、人の一生は、誕生から死去までの「時間軸」と「アクティビティ軸(活動領域軸)」の中に、すべて収まるはずである。
たとえば、Cさんの縦軸に時間軸、横軸にアクティビティ軸を置く。すると、Cさんが生まれた時点でJDBの縦軸に出生登録がなされ、コンピューターの中に“本籍”が置かれて、戸籍や現住所も記録される。そして横軸に乳幼児健診や予防接種、保育園や幼稚園、その後Cさんが通うことになる小学校・中学校・高校・大学、さらに就職、結婚、税金、年金、保険などにつながっていく。
すなわち、最初に各個人の一生の時間軸とアクティビティ軸の両側からディメンション(次元)を切ったデータベースを作っておけば、そこに収まらない日本人はいないはずだから、それが日本全国すべての国民に適用できる情報システムになるのだ。
日本は州によって法律や行政の役割が異なるアメリカやドイツなどと違って、「縦割り・縄のれん」で地方分権が進んでないから、逆に世界で最も簡単な情報システムで行政サービスが提供できる国になりうる。つまり、各都道府県・各市区町村は、どこでも同じことをやっている。言い換えれば、日本国民が受けられるメリットは都道府県や市区町村よって変わるものではなく、日本全国どこでも同じなのである。
ということは、都道府県や市区町村に別々のシステムを作らせていること自体が、大なムダを抱え込んでおり、そもそも間違っているわけだ。最初に国がクラウド・コンピューティングでJDBをコアにした基本システムを構築し、各種の行政サービスをアプリケーションにすれば、そのシステム一つですべて統治できるから、都道府県や市区町村は何も作らなくてよいはずなのである。
※週刊ポスト2014年4月18日号