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香港で中国批判デモ「イナゴ(中国人)は香港から出て行け」

「イナゴは香港から出て行け!」「中国人は中国のミルクを飲め!」

 香港有数のショッピング街である尖沙咀(チムシャツイ)で3月中旬、多くの観光客が見つめる中、100人以上の香港人が気勢を上げた。

 彼らは毛沢東の写真を掲げ、「毛沢東語録」を右手に振りかざし、中国国歌「義勇軍行進曲」を歌うなど、「愛国(中国)、愛港(香港)」をスローガンに掲げている。愛国を装って中国批判を展開するパロディ・デモなのだ。

 最近ではパロディ・デモが香港でしばしば行なわれる。

 直接の原因は2年ほど前から香港に出没するようになった中国大陸からの「運び屋」の存在だ。彼らは大挙して香港に入ると、スーパーマーケットなどで外国製の粉ミルクや水、米などの食品、さらに電化製品などを買いあさり、カートに積んで電車で中国に戻るのを日課としている。一種のバイヤーであり、香港で安く買った商品を大陸で高く売る卸業者だ。

 彼らが通り過ぎると、虫の大群に襲われた草原のように商品が消え失せてしまうことから、冒頭の「イナゴは出て行け!」というシュプレヒコールにつながっている。運び屋の買い占めで香港では粉ミルクが不足し、事態を重く見た香港政府は昨年2月、粉ミルクの輸出を原則禁止する対策を発表したほどだ。

■文:ウィリーラム 翻訳・構成/相馬勝

※SAPIO2014年5月号

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