提唱者で首相ブレーンの伊藤元重・東京大学教授は、社会保障制度改革国民会議で内容を次のように説明している。

「亡くなられた段階で消費税をいただくというもの。60歳で定年されて、85歳でお亡くなりになられるまでに、一生懸命、消費して日本の景気に貢献された方は消費税を払ってお亡くなりになっておられる。

 しかし、60歳から85歳まで、お使いにならないでひたすら溜め込んだ方は、消費税を払わないでお亡くなりになられて、しかもそれが相当な金額にならない限りは、遺産相続税の対象にならない。ですから、生前にお支払いにならなかった消費税を少しいただく。それを、後期高齢者の方の医療費に使わせていただくというものです」

 高齢者がカネを使わずに貯め込むのは経済にマイナスだから、亡くなってから相続税とは別に“消費しなかった罰則税”をかけるという論理だ。

 この「死亡消費税」はただの増税論ではない。政府がやろうとしている3つの政策をセットだと考えると、そこから怖ろしい企みが浮かんでくる。

 国民を70歳を過ぎて健康寿命が尽きるまで働かせ、体の自由がきかなくなってくる75歳になるのを待って「使えるものなら使ってみなさい」と年金を払い、仕方なく孫や子のために貯金すると、「消費に回さなかったあなたが悪い」と棺桶から税金をもぎ取る。明らかに、意図的な年金収奪のメカニズムをつくろうとしている。

※週刊ポスト2014年5月30日号

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