ここまで窮屈な職場環境になると、「予期せずセクハラで訴えられて飛ばされるくらいなら、女性社員とは関わらないほうがマシ」という男性が出てくるのも無理はない。事実、こうした感情が溜まって大きなトラブルに発展することもあるという。
「セクハラを恐れるあまり、腫れ物にさわるような対応をしすぎてしまうと、コミュニケーション不足から男性上司のストレスがピークに達してしまう場合があります。
そして、お客さんから大きなクレームが来たときに、たまりかねてミスをした女性社員を怒鳴り散らしてしまったり、突き飛ばしてしまったりといったケースも実際にありました」(同前)
では、セクハラ防止に最善の対処法などあるのだろうか。
「適度な距離感を保ちつつも、休憩時間中などに気軽な雑談をするのは構わないと思います。でも、相手が少しでも嫌な顔をしたら『余計なことを聞いちゃってごめんね』とすぐに謝って話題を終わらせることが大切です。
また、できるだけ1対1のコミュニケーションを避けることも有効です。傍観者がいれば過度なセクハラの訴えに冷静な見方もできますし、社内で問題になったときに第三者の証言があることで注意だけで済まされることもあります」(同前)
男女雇用機会均等法の改正により、7月からは異性とのセクハラだけでなく、同性間の言動も該当することになる。企業にとってセクハラ防止は重要課題だろうが、社員同士のタブーが増えすぎて風通しの悪い組織になっては意味がない。