だが、狙い通りにはいかなかった。

「反・文昌克」を鮮明にしていたのが、公共放送局のKBSだ。

「KBSはもともと左翼的な傾向が強く、セウォル号事故報道問題で社長が不在となった(※注)今はやりたい放題。文氏の“妄言”を大々的に報じたのは、朴槿恵に対する意趣返しといわれています」(韓国紙記者)

 かつて「慰安婦の強制連行はなかった」とした李栄薫(イヨンフン)・ソウル大学教授は会見の場で土下座を強要され殴る蹴るの暴行を加えられた。また、慰安婦問題を客観的に検証し、昨年8月発売の著書『帝国の慰安婦』で「慰安婦の大部分は売春である」ことを明らかにした朴裕河・世宗大学教授は元慰安婦ら15人に名誉毀損で集団提訴された。請求総額は2億7000万ウォン(約2700万円)に上り、書籍の出版差し止め仮処分も申請されるという。

 対日問題で正論を吐いた人物に対して、論を戦わせるのでなく、言論封殺の憂き目に遭わせるのが韓国の流儀なのだ。

【※注】事故報道について政府から「政権批判を控えるように」との圧力があったと疑惑が取り沙汰され、労組が2週間にわたるストライキを決行する騒動の末、社長が辞任した。

※週刊ポスト2014年7月4日号

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