朴槿恵一覧

【朴槿恵】に関するニュースを集めたページです。

韓国大統領・尹錫悦氏は大通りで通勤(写真/AFP=時事)
韓国・尹新大統領 対日融和への期待高まるも、歴代大統領「反日転向」の不安
 3月9日の韓国大統領選で、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が当選を果たした。“親日派”と言われる尹氏は5月10日の就任を前にさっそく岸田文雄首相と電話会談に臨むなど、冷えきった日韓関係にようやく陽が差すと期待されている。 しかし、これまで何度、韓国大統領の「反日転向」が繰り返されてきたか。不穏な空気は次期大統領・尹氏も纏っている。金泳三も李明博も 3月9日に行なわれた韓国大統領選は両候補が選挙中に互いの妻のスキャンダルを追及し合うなど、異例の展開を見せた。漢陽女子大学(ソウル市)助教授の平井敏晴氏が語る。「程度の低い罵り合いが続き、韓国国内では『みっともない』との嘆息が聞かれました。 かつての大統領選は支持政党別に票が割れていたため結果を予測しやすかったですが、今回は野党が候補を一本化したにもかかわらず、与党との得票差はわずか0.7ポイントの大接戦となりました」 デッドヒートを制したのは、保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦氏だ。ソウル生まれの尹氏は、長く司法浪人を経験し、9回目の司法試験に合格して33歳で新人検事に。以降は検察一筋の人生を送り、2019年に検察トップである検事総長に上り詰めた。政治経験はないが、検察改革を進めた文在寅政権と対立したことで、「反・文政権」の象徴として「国民の力」に担ぎ上げられた。 反日・親北路線を突き進んだ文政権が終焉して5年ぶりとなる保守政権の誕生に、大手メディアでは対日融和政策への期待が高まっている。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授の李鐘元氏が語る。「大統領選で尹氏は米韓関係の強化や日韓関係の改善といった保守的なスローガンを掲げました。日本との具体的な関係改善政策の内容はまだ見えませんが、1998年に金大中大統領と小渕恵三首相が日韓の友好協力関係の発展を目指して発表した『日韓パートナーシップ宣言』のような、新しいタイプの政治的合意を目指す可能性があります」 尹氏が大統領選の勝利後に「未来志向の韓日関係を作る」と語ったことも、日韓関係の改善が進むとの見方を後押ししている。 だが、「尹氏の言葉は額面通りには受け取れない」──そう語るのは、コリア・レポート編集長の辺真一氏だ。「歴代の多くの韓国大統領が当選後に『対日未来志向』を口にしてきました。しかし大統領に就任してからは、政権支持率を上げるために、日本に対して厳しい姿勢に転じることを繰り返してきた」 歴史を振り返ると、韓国の歴代大統領の「反日転向」は数多い。初の文民政権として1993年に就任した金泳三大統領は、就任時に慰安婦問題について「日本政府には物質的補償を要求しない」と表明したが、やがて反日世論を意識するようになり、竹島に埠頭を建設するなどの政策を実行した。 続く金大中大統領は、小渕首相と日韓パートナーシップ宣言を締結したが、2001年に日本の中学歴史教科書について、「35項目の記述修正」を要求し、外交問題に発展した。 最も急旋回したのは、2008年に就任した李明博大統領だった。「大阪生まれで日本語がペラペラだった李氏は親日と目され、就任時には日本と経済重視の関係性を築くと約束していました。しかし、慰安婦問題で弱腰とバッシングされて対日方針を転向しました。2012年8月には韓国の大統領として初めて竹島に上陸し、『(天皇が)韓国を訪問したければ、心から謝るのがいい』と発言して日韓関係は悪化の一途を辿った」(辺氏) 親日の保守派と期待されて2013年2月に就任した朴槿恵大統領も、1か月後には、「加害者と被害者という歴史的な立場は千年の歴史が流れても変わらない」と述べて日本を断罪した。 韓国の変わり身の早さには、かつて岸田文雄首相も煮え湯を飲まされた。元朝日新聞社ソウル特派員の前川惠司氏が語る。「岸田首相は外相時代の2015年、朴槿恵政権と慰安婦問題の『最終的かつ不可逆的な解決』を確認した日韓合意を締結した張本人です。文政権によって国と国との合意を反故にされた苦い経験を持っています。韓日関係の改善をどう図るのかは難しいところでしょう」※週刊ポスト2022年4月1日号
2022.03.18 11:00
週刊ポスト
朴槿恵前大統領の獄中手記が波紋を広げている(写真/共同通信社)
獄中手記も話題、朴槿恵氏の“恨の矛先”が韓国大統領選のカギを握る
 3月9日に行なわれる韓国大統領選が終盤戦に入り、大混戦となっている。わずかにリードする保守系最大野党「国民の力」の候補である尹錫悦氏を革新系与党「共に民主党」候補の李在明氏が追いかけているが、開票まで目が離せない展開だ。そんななか、“前大統領の手記”が韓国で発売され、注目を集めている。「昨年末、現・文在寅政権の恩赦で釈放された朴槿恵前大統領の獄中手記が発売されてベストセラーとなり、朴氏の今後の言動が注目されています」 そう説明するのは、コリア・レポート編集長の辺真一氏だ。収賄などの罪で服役していた朴氏は恩赦と同時に、獄中で支持者と交わした手紙を『恋しさは誰にでも生まれるものではありません』というタイトルの手記として出版。その内容が波紋を広げているというのだ。「手記には、大統領選の候補である尹氏に対する恨みつらみと受け取れる心境が綴られています。というのも、朴氏弾劾事件で検察の捜査チーム長として指揮を執っていたのが尹氏です。一方で、尹氏を擁立する『国民の力』は朴氏がトップだった『セヌリ党』の流れを汲む保守系政党。朴氏が今後、尹氏を支持するか否かで選挙の風向きが変わる可能性があるのです」(辺氏) 時系列を整理すると、尹氏は朴氏の捜査で名をあげて文政権下で検事総長に起用されるも、今度は文氏の側近の疑惑を追及。政権と対立する存在となったために、保守系野党から「反文在寅」の象徴として担がれたというややこしい経緯がある。状況は複雑なのだ。「逮捕されたとはいえ、朴氏は保守政党の前党首であり保守系の支持層にとってはシンボルです。彼らにとって朴氏は、敵である文政権から政治的な迫害を受けた“ジャンヌ・ダルク”のように捉えられている。 朴氏は一貫して無実を主張してきました。このまま尹氏を支持すれば自分の事件を認めたことになってしまいます。一方、尹氏を批判すれば自身の支持層が支えてきた政党には逆風となる」(辺氏) 尹氏にとっても大誤算だったのだろう。「朴氏は現在入院中ですが、2月には退院すると見られています。文在寅への憎しみと尹氏への憎しみ。どちらが彼女にとって大きいのか見ものです」(辺氏) 朴氏の決断やいかに。※週刊ポスト2022年2月11日号
2022.02.02 07:00
週刊ポスト
文在寅・大統領、李在明・京畿道知事
韓国のトランプと呼ばれる次期大統領候補「日本は後進国に転落」発言
 韓国・文在寅政権が“死に体”と化しつつある。4月7日のソウル・釜山市長補欠選挙で与党が大敗、政権支持率も33.4%と発足以来最低を記録し、「もはや国民の関心はポスト文へと向かっている」(韓国人ジャーナリスト)という。来年3月に予定される次期大統領選が早くも動き始めた。 現在、世論調査で次期大統領候補のトップに立つのが、李在明(イジェミョン)・京畿道知事である。国政経験のない李氏は京畿道独自のコロナ支援金を支給するなどして注目を集め、さらにベーシックインカム(最低所得保障)の導入を掲げたことから、特に若年層の支持を得ている。 この李氏のことを、本誌・週刊ポストは5年前に〈「朴槿恵は日本のスパイ」と煽る“韓国のトランプ”登場〉(2016年12月2日号)という記事で取り上げている。朴槿恵・前大統領が日韓のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)に仮署名したことを李氏が痛烈批判。「我々を侵略し独島(竹島の韓国名)への挑発を続けている事実上の敵国である日本に軍事情報を無制限に提供するこの協定を締結するなら、朴槿恵は大統領ではなく日本のスパイだ」とフェイスブックに書き込んだところ、ネットユーザーからの熱烈な支持を集め、「韓国版トランプ」として注目されているという内容だった。 あれから5年、李氏は有力な大統領候補にまで昇りつめたのだ。武藤正敏・元駐韓大使はその人物像をこう見る。「李氏はトランプが共和党の異端であるのと同じく、与党内野党の立場として支持を得ている。反日発言は文氏のような思想信条ではなく、ポピュリズムに従っているだけですが、今後、大統領選の候補者選びが混沌としてきた場合、さらに反日色を強めていくこともあり得るでしょう」 3月31日には日本の教科書に竹島が「日本固有の領土」だと記載されることをめぐって、「日本が過去を否定し、歴史を歪曲して、自ら孤立を招いた場合、間もなく後進国に転落することになるだろう」とフェイスブックに書き込み、またもやネット上で熱狂的支持を集めた。「韓国版トランプ」の躍進は日韓関係にどんな影響を及ぼすのか。※週刊ポスト2021年4月30日号
2021.04.19 07:00
週刊ポスト
文政権が低迷する支持率を回復できるか?(写真=YONHAPNEWS/AFLO)
残り任期1年の韓国・文大統領 数々の不正疑惑に言論統制法で先手か
 任期満了まで1年余りとなった韓国・文在寅政権が迷走している──。就任以来、文政権の公約である最低賃金の大幅な引き上げや、残業規制の強化で疲弊した企業をコロナが直撃し、1月の就業者は前年同月比で100万人減少。昨年は、1998年の通貨危機以来のマイナス成長となった。 相次ぐ失政で支持率は低迷を続け、すでに政権末期とも囁かれる。さらに暗い影を落とすのが数々の不正疑惑だ。「2018年の蔚山市長選挙で大統領府が組織的に不正介入した疑いは、すでに選挙スタッフの捜査が始まり、文大統領の関与が最大の焦点です。また最近になって、文政権が2018年の南北会談の際、電力不足の北朝鮮に原発建設の支援を検討していたことが報じられた。核開発疑惑のある北朝鮮への原発提供計画が事実なら国際安全保障にかかわるスキャンダルで、政権の存亡にかかわる」(韓国紙記者) 自殺した盧武鉉氏、逮捕された李明博氏や朴槿恵氏など、歴代の韓国大統領は退任後に辛苦を味わった。文氏についても、「このまま支持率が低迷して2022年3月の大統領選で政権が交代したり、スキャンダルが暴かれて朴槿恵氏のように弾劾されたりすれば、その後、逮捕される可能性は十分にある」(朝日新聞元ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏)とみられている。 そうした火種があるからか、文政権は先手を打ち、“言論統制法”の制定を急いでいる。「与党『共に民主党』は、フェイクニュースを報じたメディアに懲罰的な損害賠償を課す法案を作成する方針です。ただし何がフェイクなのか基準が明確でなく、法案が制定されると、政権に対する疑惑レベルの報道ができなくなる恐れがあります」(韓国・漢陽女子大学助教授の平井敏晴氏) 自国民への締め付け策が反発を受け、支持率が低下した時に、韓国の政権が「反日カード」に手をかけるのは、何度も繰り返されてきたことだ。保守系最大野党「国民の力」のトップ・金鍾仁氏らは、釜山と九州を海底トンネルで結ぶ「日韓海底トンネル」構想をぶちあげるも、文政権を支える与党「共に民主党」は“日本を利する政策”だとして猛反発している。ここで、わざわざ「親日だ」という批判のロジックを持ち出したあたりからも、文政権が再度「反日カード」を手にするのではないかという懸念が拭えない。※週刊ポスト2021年3月12日号
2021.03.03 07:00
週刊ポスト
韓国・検事総長「職務停止」問題 常軌を逸する措置で混乱も
韓国・検事総長「職務停止」問題 常軌を逸する措置で混乱も
 韓国の政府内で露骨な権力闘争ともいえる事態が勃発した。韓国メディアは今、文在寅政権の秋美愛(チュ・ミエ)法相が、検察トップの尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長に対して行なった「懲戒請求」と「職務停止処分」で持ちきりである。尹検事総長といえば、2019年7月、文大統領により抜擢された人物。就任後は「検察改革」を旗印に掲げる文政権にも対決姿勢を取り続け、時の政権にも与しないその姿勢が、国民からも広い支持を集めてきた。その検事総長が職務停止処分を受けるとは、どういう事態なのか。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)の著書がある韓国出身の作家・崔碩栄(チェ・ソギョン)氏は、尹検事総長という人物についてこう語る。「2016年の朴槿恵大統領(当時)の弾劾で、崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入を捜査した特別検察官チームで捜査チーム長を務めたのが尹氏です。文大統領は彼を高く評価し、大抜擢して検事総長に任命した。ところが、尹氏は非常に職務に忠実な人で、右派も左派も関係なく、曹国(チョ・グク)前法相をめぐる疑惑捜査の陣頭指揮を執るなど、文政権にも厳しい姿勢を取った。期待していたのと正反対の行動を取る尹氏は、文政権にとって邪魔な存在になっていたのです」 文大統領は、“検察改革”の名の下、検察の権限を縮小させる改革を進めてきた。その一つが「高位公職者犯罪捜査庁」の創設で、2019年12月30日に設置法案が国会で可決され、大統領や首相など政府高官や国会議員らに対する捜査は、検察ではなく大統領直属機関が行なうこととなった。日本で例えれば、東京地検や大阪地検の特捜部が廃止され、首相直属の機関が政治家の汚職を捜査する体制になったようなものだ。 さらに、曹国氏の後任である秋法相は、2020年1月の検察人事で、曹氏一家の不正の捜査を指揮していた韓東勲(ハン・ドンフン)大検察庁反腐敗・強力犯罪部長を筆頭に、尹検事総長の腹心の幹部32人を一斉に地検や閑職に左遷した。後任には、文大統領の大学時代の後輩や盧武鉉政権時代の青瓦台スタッフらが就任している。「ここまで追い詰めれば尹氏は辞任するだろうと思ったら、彼は辞めなかった。それでとうとう、尹氏側への監察を妨害したなど5つの不正を行なったとして、懲戒請求と職務停止という強硬手段に訴えたのです」(崔氏) 秋法相は、早ければ12月第1週目に法務部の「検事懲戒委員会」を開くと見られている。7人の委員の過半数を法相が選べるので、ここで解任処分が決定する見込みだ。 この措置には尹検事総長も黙ってはいない。11月25日にはソウル行政裁に職務停止の執行停止を申し立て、法的に争う姿勢を見せており、また、韓国の検察関係者も一部反発の動きを見せている。朝鮮日報(11月26日付)によると、〈大検察庁の研究官らは25日、会議を開き、「秋美愛法務部長官の指示は違法で不当な措置だ」とする声明を出したのに続き、釜山地検東部支庁の検事らも全国の検察庁で初めて、末端検事による会議を開き、同様の立場を表明した〉という。 検事らは「違法で不当な措置だ」と訴えているが、そもそも法相に検事総長を解任する権限はあるのか。元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏はこう答える。「検事の懲戒制度はありますが、こういう形での運用は想定されていないはずで、職権乱用に当たるのではないかというのが争点になるでしょう。実際、秋法相の今回の措置は常軌を逸している。  なぜここまでやるのかというと、ある疑惑が持ち上がっているからと考えられます。秋法相の息子は、2017年の兵役中、病気休暇で家に帰ったあと部隊に戻らず、秋氏の補佐官らが軍に電話をして、休暇延長の扱いにさせたという疑惑が出ていて、今年9月にソウル東部地検は国防部を家宅捜索しています。本来なら脱走扱いで軍法会議にかけられるところを、圧力をかけて救ったという疑惑です。捜査から息子を守りたい母親の一念が、尹氏への恐怖と憎悪となって解任へと暴走しているのではないか」 この件はすでに韓国で報道されているので、もし尹氏を解任すれば、秋法相も大きなイメージダウンを免れないが、それでも強行しようとする姿勢には執念を感じざるを得ない。 現実に尹氏が検事総長を解任された場合、訴訟以外に巻き返す手段はあるのか。少々荒唐無稽かもしれないが、2022年の大統領選への出馬という方法がある。韓国の世論調査会社ハンギルリサーチが11月11日に発表した調査結果によると、尹氏本人は出馬を口にしていないにもかかわらず、次期大統領選挙への出馬が予想される人物中、尹氏の支持率が1位(24.7%)だったという。「尹氏は朴槿恵弾劾に関わったので、与党の左派だけでなく、野党の保守派も皆が皆、支持しているわけではない。政界に支持基盤と人脈がないので、出馬はそんなに簡単ではありません。次期大統領選候補で支持率トップになったのは、他に有力候補がいないからで、反文在寅の票が集まっただけと考えられます」(崔氏) ただ、多くの韓国国民から人望の厚い尹氏が出馬すれば、左派からも右派からも票を集められるはずで、台風の目になることは間違いない。◆取材・文/清水典之(フリーライター)
2020.11.29 07:00
NEWSポストセブン
韓国タマネギ女 朴槿恵政権への不正追及が大ブーメランに
韓国タマネギ女 朴槿恵政権への不正追及が大ブーメランに
 韓国・文在寅政権にとって「法相」は鬼門のようだ。秋美愛(チュミエ)法相に息子の兵役中の特別待遇、政府支援の制度を使った就職先の斡旋、娘の留学ビザの早期発給に圧力をかける──など複数の疑惑が浮上。9月13日には検察が息子を事情聴取する事態になった。 文政権では、前法相の曹国(チョグク)氏に息子の不正入試などの疑惑が次々と発覚し、剥いても剥いても疑惑が出てくることから「タマネギ男」と批判された。昨年10月に辞任した曹氏の後任に抜擢されたのが秋氏だが、同様の“身内びいき”疑惑が露呈し、多くの国民から「次は“タマネギ女”か!」との嘆息が漏れた。 元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏が語る。「秋氏は過去、何度も他人の兵役不正を厳しく追及した人物です。2002年の大統領選では、当選した盧武鉉・元大統領を応援し、対立候補の息子に兵役拒否の疑惑が持ち上がった際、批判の急先鋒として『しっかりと捜査をしないのか』『国政調査しろ』などと発言。 他にも、朴槿恵政権時代の秘書官の息子や、朴槿恵弾劾後の大統領代行の兵役不正疑惑も徹底的に追及した。この過去が国民の怒りを増幅させ、“大ブーメラン”となって自分へはね返っています」 秋氏の疑惑は、文政権の“アキレス腱”にもなりかねない。「曹氏のスキャンダルでは、本人の辞任によって批判の幕引きが図られました。同じ醜聞を繰り返しただけに国民の怒りは頂点に達しているが、文政権はコロナ禍を理由に大規模集会を禁止し、反政権運動を抑え込もうとしている。今回も辞任で強引に事を終わらせようとするのではないか」(同前) タマネギの剥きすぎで、文大統領は涙目か。※週刊ポスト2020年10月9日号
2020.09.29 16:00
週刊ポスト
「努力は必ず報われるわけじゃない」とハ・ワンさんは説く(『あやうく一生懸命生きるところだった』より)
「一生懸命生きない」韓国本、なぜ日本で共感を呼んだのか?
 新型コロナウイルスの影響による失業や収入減で、生計維持のために奔走している人も多いだろう。しかし今、世間の流れとは対照的な韓国のエッセイ本が売れている。 韓国で25万部のベストセラーとなった『あやうく一生懸命生きるところだった』(ハ・ワン著、ダイヤモンド社)は、1月15日に日本で発売されるとすぐに話題になり、発売から約5か月で累計9万部を突破。韓国では、人気グループ・東方神起のユンホが手にとったことでも話題を呼んだ。この本の翻訳者である岡崎暢子さんが話す。「コロナ騒動で、発売後すぐに書店が閉鎖されてしまったのですが、巣ごもり需要もあったのかSNSや口コミなどで話題になり、オンラインでの売れ行きが好調でした。自粛明けの6月に書店が再開されて、さらに反響を頂いているようです」(岡崎さん) この本は、「良い大学を出なければならない」「大企業に就職しなければならない」「結婚して子供を産んで当たり前」といった、現代社会に蔓延する奇妙な“正解社会”に、著者のハ・ワンさん自身が40才を目前にして突如会社を辞め、「一生懸命をやめる」生き方を選択し、独自の視点で疑問を投げかけている。 著書の中でハ・ワンさんは、「なぜ僕らはいつも、正解がただ一つしかないかのように、そこに群がるのか」、「お金をたくさん稼がなくても幸せに暮らせて、無視されることもなく、惨めでもない世の中、そんな社会を夢見ている」と、誰もが一度は感じる社会への違和感や閉塞感を率直に綴った。◆地獄のような朝鮮「ヘルチョソン」 韓国経済に詳しい大東文化大学教授の高安雄一さんは、この本が韓国でヒットした理由について、こう分析する。「韓国には、海外のような多様な価値観がありません。良い大学を出て大企業に入ることが人生の目標になっていて、そのための競争が非常に激しい。多くの若者は遊びを我慢して死に物狂いで勉強し、『SKY』と呼ばれる三大名門大学(ソウル大学、高麗大学、延世大学)を目指します」(高安さん) 韓国には中学・高校受験が基本的にないため、エリートコースに進むためには大学受験の一発勝負に勝たなければならない。それも、競争に拍車をかけている要因の一つだ。「大学入学後は、すぐに成績・英語・インターンという“3種の神器”を獲得するための競争が始まります。大学在学中はずっと就職活動をしているようなものなので、学生たちは息をつく暇がありません。晴れて企業に就職しても気は抜けません。今度は出世競争が始まり、競争に負ければ容赦なく肩叩きに合います」(高安さん) 2000年代初めに韓国に留学経験のある岡崎さんは、韓国人の生活を間近で見て驚いたという。「学生はもちろん、サラリーマンも朝から英語や中国語の勉強をして、仕事の休み時間にはジムで汗を流し、飲み会もしっかり3次会まで行く。周囲に遅れをとらないよう必死で、一体いつ寝ているのかと思いました」(岡崎さん) 現役時代を走り続けて、引退したら平穏な日々が待っているかというと、韓国は高齢者にも厳しい。「韓国は年金の水準が低く、医療費も現役世代並みにかかります。日本も手厚い方ではありませんが、韓国はもっとひどいので老後も働き続けなければならない人が多い。つまり、一生を通して休める時期がないのです。OECD加盟国の中で韓国の自殺率がトップなのは、高齢者の貧困による自殺が多いからなのです」(高安さん) 韓国の非正規労働者の数は年々増加しており、その増加スピードは日本より速い。未来に希望が持てなくなると、自分の生活で手一杯になり次の世代を作ろうとは思えず、韓国でも少子高齢化は深刻な問題だ。出生率は日本が1.36なのに対し、韓国は0.92と2年連続1を切っている。「そんな中、朴槿恵(パク・クネ)前大統領の逮捕や大韓航空のナッツ・リターン事件などがあり、権力者の横暴ぶりに韓国人は怒りと絶望を感じたのです。この頃の若者たちは自国を卑下して、『ヘルチョソン(地獄のような朝鮮)』と呼んでいました」(岡崎さん) 競争に疲れ果て、国に裏切られ、生涯暮らしは豊かにならない。そんな中で出版された本書が、韓国国民の心を鷲掴みにしたのだ。◆“人生マニュアル”に沿って生きても幸せになれない 本書が日本でヒットしたのも、少なからず韓国との共通点があるからだ。「韓国はこれまで、日本の20年前を辿っていると言われてきましたが、格差や自殺率、出生率など、社会問題の観点で見れば韓国が日本を追い抜いています。韓国ほど深刻な状態ではなくとも、昨今の日本も終身雇用が大きく揺らぎ、非正規雇用の比率は増加傾向にある。昨年明るみに出た“老後2000万円問題”や年金の目減りも、日本全体の閉塞感につながっています。同じような問題を抱える特に若い世代は、閉塞感を持つ者同士共感する部分があるのでしょう」(高安さん) 岡崎さんは、「多様な生き方が認められ始めている」と話す。「日本でも韓国同様、きちんとした会社に就職して何才までに結婚して、子供を産んでマイホームを持って…と、『こうならなければいけない』という“人生マニュアル”がありますよね。でも、そのマニュアルに沿って生きた結果、幸せになれるとは限らない。この本は、そのことに皆が少しずつ気付き始めて、窮屈な正解社会に疑問を感じている人々に刺さったのだと思います。その意味で、多様性を認めようという空気感が日韓ともに少しずつ広がっているのではないでしょうか」(岡崎さん) 他者と比較することは、競争社会に一生身を置き、疲弊し続けることに他ならない。この本は、そうした社会へのアンチテーゼとして広く人々の心に響いたのかもしれない。 イラスト/ハ・ワン 取材・文/小山内麗香 
2020.06.19 07:00
NEWSポストセブン
巨大財閥の運命は(AFP=時事)
サムスントップに逮捕状騒動 韓国“財閥崩壊”が始まった
 巨大財閥の行方を巡り、韓国社会が揺れている。今月4日、韓国検察がサムスングループの実質的トップ、李在鎔氏(サムスン電子副会長)に対する逮捕状を請求。経営権継承を狙う李氏が「粉飾会計や株価操作を行なった」とするもので、逮捕は確実視されていた。 ところが、ソウル中央地裁はこの請求を棄却。李氏はすんでの所で逮捕・勾留を免れたのである。韓国紙記者が解説する。「李氏は朴槿恵前大統領を退陣に追い込んだ2016年の“崔順実ゲート事件”でも収賄など5つの容疑で逮捕・起訴された。検察が一企業のトップをここまで執拗に追及するのは極めて異例のこと」 李氏は2017年に実刑判決を受け拘置所に送られたが、2018年の二審で執行猶予に。現在も審理は継続中だ。ジャーナリスト・河鐘基氏が続ける。「注目すべきは、李氏が“自分の代で世襲を終わらせる”と明言した直後に逮捕状請求が行なわれた点。財閥解体を掲げる文在寅政権は、サムスン側にプレッシャーを与える姿勢を見せたい一方で、財閥トップの身柄拘束が韓国経済にどのような影響を及ぼすかも考えたはず。逮捕状請求から棄却の流れは、文政権が絵を描いた“出来レース”のようにも見えます」 前回、逮捕された事件の際にも現地メディアは〈李副会長の拘束可能性はサムスンとしては経営上最悪の不確実性〉(2019年8月28日付、朝鮮日報)などと報じたが、トップ逮捕は韓国のGDPの2割を占めるサムスングループの浮沈、そして韓国経済全体の先行きさえも左右するということだ。 李氏は財閥の御曹司ながら人柄の良さや経営手腕に一定の評価があるとされ、〈国民の6割が善処を期待〉(6月8日付、東亜日報電子版)しているというデータもある。だが、財閥一族の子弟に対する国民感情は総じて悪い。「“ナッツリターン事件”で悪名を轟かせた大韓航空の趙顕娥・前副社長(韓進グループ創業者・趙重勲氏の孫)のほか、昨年は現代やSKグループの要職に就く“財閥三世”が薬物事件で摘発されるなど、相次ぐ不祥事に世間の目も厳しくなってきました。創業者一族が企業を所有、支配する構造は早晩、瓦解するのではないか」(前出・河氏) 三代続けば末代続く──というものの、「三代目」への世代交代が進む韓国財閥の運命は“風前の灯”のようだ。※週刊ポスト2020年6月26日号
2020.06.13 07:00
週刊ポスト
コロナ禍の株主総会 お家騒動を抱えるロッテ、大戸屋の行方
コロナ禍の株主総会 お家騒動を抱えるロッテ、大戸屋の行方
 株主総会が本番を迎える6月は、お家騒動を抱える企業が続々登場する。今年はコロナ禍で開催延期を決める企業も現われたが、“延期したくてもできない”事情を抱えるあの会社は──。 骨肉の争いが繰り広げられるのがロッテホールディングスだ。2015年に創業家の跡目争いをめぐる長男の重光宏之氏と弟・昭夫氏のお家騒動が起き、宏之氏がロッテHDの副会長を解任された。 以降、筆頭株主である宏之氏は、ロッテHD会長になった昭夫氏の解任や、自身の復帰を求める株主提案を繰り返したが、5年連続で否決。 めげずに今年も昭夫氏の会長解任を求める株主提案を再び提出している。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。「韓国の朴槿恵前大統領をめぐる疑獄事件で贈収賄に問われた昭夫会長は、昨年10月に執行猶予付き有罪判決が確定。この流れでの解任要求には、これまでとは異なる大義がある。 今年1月に創業者で兄弟の父親である重光武雄氏が逝去してから初めて開かれる株主総会なので、パワーバランスが変化して議決に影響するかもしれません」 定食チェーンの大戸屋ホールディングスは、筆頭株主で牛角などを運営するコロワイドとの争いが焦点に。コロワイドは4月14日、大戸屋HDに、12人の取締役のうち7人を自社から派遣する株主提案を行なった。 もともと同社は、お家騒動で大戸屋HDを追われた創業家サイドから同社株を取得し、筆頭株主となった。6月の株主総会で取締役会の実質支配を図り、大戸屋HDの経営陣を刷新する方針だ。※週刊ポスト2020年5月22・29日号
2020.05.12 16:00
マネーポストWEB
予想を超える圧勝だった(EPA=時事)
韓国総選挙勝利の与党候補 反逆の検事総長に“倍返し”予告
 新型コロナがまだ完全には収まらない韓国で、4月15日、総選挙が実施された。2月頃の世論調査では野党が優勢と伝えられていたが、結果は与党の圧勝。議員定数300に対し、与党「共に民主党」は、“子政党”という位置づけの比例代表政党「共に市民党」と合わせて過半数を超え、3分の2に迫る180議席を獲得した。進歩系政党が議席の過半数を得たのは16年ぶりである。 なぜ与党は巻き返しに成功したのか。韓国事情に詳しいジャーナリストの前川惠司氏は理由をこう分析する。「新型コロナが選挙に影響したのは間違いなく、有権者が混乱よりも対策を優先したと考えられます。与党の李洛淵(イ・ナギョン)前首相は選挙運動の第一声を、新型コロナの感染防止のため、支持者を集めず街頭にマスコミだけを集めて発した。一方の保守系野党『未来統合党』代表は、従来通りの集会で第一声をあげた。これが野党の時代感覚と危機感のなさと捉えられ、さらに野党候補者のセウォル号事故の遺族を中傷した暴言問題などもあり、最後まで差を詰められなかった」 保守系野党は朴槿恵前大統領を擁護するか否かで相変わらず一枚岩になれず、惨敗を喫することとなった。ただ、この選挙結果に対してはネット上で疑問の声が上がっている。 今回の選挙では、期日前投票率が22.69%と過去最高を記録した(全体の投票率も66.2%と2000年以降の総選挙で最高を記録した)。人が集まる投票会場に足を運びたくない有権者が多数いたと考えれば、それ自体は不思議なことではないが、開票結果に疑問を抱く人が少なくないという。韓国人作家の崔碩栄氏が語る。「これまでの総選挙では、期日前投票と当日投票で与党・野党の得票率にほとんど差が出ないのが普通だったが、今回は大きな差が出た。当日選挙の開票では与党と野党で拮抗し、わずかに野党が勝っていたのが、期日前投票の開票では大差で与党が勝った。それも地域によってバラつきがなく、ほぼすべての地域で12%与党が上回っていたのです。 さらに、与党圧勝の報を受けた与党幹部が、普通なら大喜びするところをなぜか表情が硬いままだったのも不審がられていて、韓国では『不正選挙だ』という声が上がっている。そんな不正をするには全国の選挙管理人を買収する必要があり、陰謀論として切り捨てるべきですが、野党支持層の中には未だに不信の声が後を絶たない」 選挙に負けた側から「不正選挙だ」という声があがるのはよくあることだが、独裁国家ならまだしも、民主主義の韓国では考えにくい。投票結果を操作するなら、一律12%アップさせるというバレやすいやり方はしないだろう。文在寅を支持する左派の運動団体が、新型コロナによる当日選挙の中止を想定して、期日前投票に動員したといったところではないか。 いずれにせよ、新型コロナが選挙に大きな影響を及ぼしたのは事実で、この非常時に実施された選挙によって、文在寅政権は盤石の体制を築いたと言える。崔氏はこう続ける。「裁判官はすでに文在寅派で占められ、国会も過半数を握り、いくらでも法案を通せるようになった。行政、司法、立法の三権を文在寅が掌握したのです。唯一、反抗していたのが、曹国(チョ・グク)前法相を追及していた尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長でしたが、昨年末に検察の上位に位置する捜査機関『高位公職者犯罪捜査処』の設置法案が通り、主要な側近が左遷されて力を奪われている。 今回の選挙では、曹氏の長男の大学不正入学に関与した容疑で起訴されていた元・民情首席秘書官の崔康旭(チェ・ガンウク)氏が立候補しましたが、彼は『尹検事総長は高位公職者犯罪捜査処に捜査されるだろう』と発言し、与党が圧勝して自らも当選した後には『世の中が変わったことを実感させてやる』とまで豪語した。政治家が検察への介入を公言するという常軌を逸した事態です」 自らを抜擢した文大統領におもねることもなく、対決姿勢を示してきた尹検事総長。文在寅政権側の“倍返し”で彼に捜査の手が及べば、検察側に反攻の芽はなくなるのは必至だ。●取材・文/清水典之(フリーライター)
2020.04.30 07:00
NEWSポストセブン
文在寅支持の集会を取材する井沢氏
韓国の若者、北朝鮮が好きで日本には「恨」の感情抱く絶望
 2019年の日韓関係は「戦後最悪」と評された。そんな彼らの「反日」の行動原理を探るべく、「週刊ポスト」で『逆説の日本史』を連載中の作家・井沢元彦氏はソウル取材を行なった。彼の地で「日韓断絶の根源」を目の当たりにすることになった井沢氏は、韓国の対日行動原理に「恨(ハン)」という特有の精神があることを著書『恨の法廷』(1991年)で言及している。 韓国における「恨の精神」は、日本での「恨(うら)みの心情」とは似て非なるもの、もしくは全く異なるものである。中国王朝の影響下に置かれた時代が長い朝鮮半島の国家は、解消困難な抑圧状況に対する怒りや不満、あるいは抵抗心を、逆に「生きるエネルギー」に転換させようとした。その状態を「恨」という。現在の韓国と「恨」を乗り越えて関係を築くことはできるのか、井沢氏が考察する。 * * * 文在寅大統領が退任し対立する勢力から大統領が選ばれれば、日韓問題は解決されるのだろうか? 確かに今より状況は改善されるかもしれない。前の大統領、つまり保守派の朴槿恵政権の下では、一度は慰安婦問題を完全に解決するという合意がなされた。これは革新派政権では絶対あり得ないことだ。しかしそのことが国内的には朴槿恵大統領の支持率を落としたことも事実である。 じつは彼女は慰安婦の件では安倍総理と握手しながら、外遊するたびに日本はひどい国だという悪口を言いまくっていた。「朴槿恵の告げ口外交」で、これもまったくの事実である。なぜそんなことをしたのかと言えば、慰安婦問題などで「妥協」したことで彼女を親日派(=売国奴)と批判する向きがあったからだ。とにかくどんな合理的なことでも日本の言い分を認めれば「親日派」にされてしまうのだから困ったものだ。 その朴政権を「親日派」だと徹底的に批判して政権を奪い取った文大統領が、日本側のきわめて合法的な「日韓基本条約を無視するな」という要求をなぜ黙殺するのか、これでおわかりいただけるかと思う。 しかし大人はそうでも、若者は違うのではないかという期待を当初私は抱いていた。若者は常に現状に批判的だし、感情に走る大人に比べて理性的で論理的な面もある。視野も広い。そこで伝手を求めて韓国の大学生を招き、ソウルの日本料理店で酒を飲みながら意見を交換した。ちなみにその日は「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」、つまり8月14日の夜で他に日本人客はいなかったが、韓国人客で盛況だった。 ちょうど鬼畜米英を唱えていたころの日本にアメリカ映画や音楽のファンが結構いたように、今の韓国にも日本文化のファンは大勢いる。また日本政府に対してはともかく、個々の日本人に対しては強い反感を持っている人は少ない。それがせめてもの救いではあるのだが、結論から言えば私は若い世代にも失望した。 どうやら完全に左翼勢力に洗脳されていると言ってもいい状態なのである。もちろん少数のサンプルで全体の傾向を即断してはいけないということも重々承知しているのだが、その後周辺取材をしてみた結果も同じだ。 どういうことかと言えば、まず若者は北朝鮮に対する親愛度が異常に高いということだ。1950年の朝鮮戦争は北朝鮮が侵略目的で韓国に対して奇襲を仕掛けたことで始まった。韓国はアメリカ軍などの応援も得てようやく北朝鮮軍を撃退したものの、兵士と一般国民合わせて韓国人100万人近くが犠牲になった。平たく言えば、北朝鮮の卑怯な不意打ちで殺されたのである。 ところが、この「父祖の仇」であるはずの北朝鮮に対し若者たちは憎悪どころか親近感を抱いている。そして、それ以上に「絶対悪」として認識しているのが日本なのである。恐るべき事態だ。それほど若い世代に対する反日洗脳、「恨」思想の刷り込みは進んでいるということだ。 ずっと前から指摘していることだが、韓国では子供のころから旧日本軍が韓国女性を拷問しているような展示を見せ、日本が「悪」であることを叩き込んでいる。だからこそ、昭和20(1945)年の終戦以降、100万人どころか1人の韓国人も戦争で殺していない日本のほうが北朝鮮より憎まれるという、きわめて異常な事態が実現してしまった。左翼勢力の宣伝教育工作の大勝利である。 その頂点に文在寅政権がある。「恨」の感情を利用した慰安婦問題や徴用工問題に関する不当な言いがかり、あるいはGSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄をちらつかせる不当な牽制に妥協すれば、相手はますます図にのって無法な要求を繰り返すだろう。だがそれは韓国にとって亡国への道である。 終戦、そして1965年の日韓基本条約締結から2019年までの日韓関係を総括するなら、韓国の嘘に基づく不当で過大な要求を、日本が戦前に対する「贖罪意識」もあって逆らうことなく応じてきたという形だろう。しかし、韓国から従来の姿勢を反省し歴史を直視しようという動きが出てきた2019年は、新たな歴史の分岐点でもあった。そうした目覚めた人々と連携すれば新しく真に友好的な日韓関係を築くことができると、私は確信している。※週刊ポスト2020年1月3・10日号
2019.12.24 11:00
週刊ポスト
転んでもタダでは起きない(EPA=時事)
崖っ淵の文在寅大統領 GSOMIAは維持か、破棄か、留保か
 11月23日の午前0時までに、韓国の文在寅大統領は重大な決断を迫られる。その時刻をもってGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)が失効するからだ。 韓国政府がGSOMIAの破棄を決定したのは8月22日。日本による半導体素材輸出管理強化と、「ホワイト国除外」への対抗措置として“対日カード”を切ったのである。 だが、破棄直後に米国防総省が「強い懸念と失望」を示し、北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に撃ち込むと、賛否が二分されていた韓国世論も「GSOMIA破棄の見直し」に傾き始める。 曹国(チョ・グク)・前法相のスキャンダルも追い打ちをかけ、文大統領の支持率は10月中旬までに、就任以降、最低となる39%まで下落した。「韓国の建国記念日である10月3日には、朴槿恵前大統領の時を上回る30万人規模の『文在寅退陣要求デモ』がソウル市内で行なわれました。また、韓国の保守系弁護士団体がGAOMIAの破棄を巡り違憲訴訟を起こしたり、韓国国防相が『GAOMIA維持』を公然と訴えるなど、文大統領は崖っぷちに追い込まれている」(韓国紙記者) 今月6日にはスティルウェル米国務次官補が韓国に乗り込み“最後通牒”を突きつけたが、文大統領はどう出るつもりなのか。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏はこう見る。「日本が経済問題で譲歩しない限り、大統領府のロジックとしては破棄するしかない。ただし、米国から厳しい突き上げがあるので、23日の段階では破棄を留保、凍結する可能性も残されています。そうなれば、国民にも米国に対しても一応の名分は立つという考え方はできますからね」 大騒ぎした上で“現状維持”に落ち着くという見立てだが、破棄を強行する可能性も残される。朝鮮半島情勢に詳しいジャーナリストの河鐘基氏が指摘する。「そうなった場合、今度はどこかのタイミングでGSOMIAの再締結、ないしは同等の枠組みを提案し、新たな対日交渉カードにする可能性があります。韓国側が“譲歩”したと演出し、輸出規制解除や歴史問題の清算を迫ると思われます」 日韓関係の雪溶けはまだ先が見えない。※週刊ポスト2019年11月22日号
2019.11.12 11:00
週刊ポスト
支持率は過去最低を更新した(EPA=時事)
韓国の若者が文在寅政権に反旗 背景に世代間格差か
 10月14日、韓国の曹国(チョ・グク)法務部長官(法務大臣)が辞任した。日本製品の不買運動に加え、与党議員による根拠不明な数値を基に作成した「放射能汚染日本地図」の公表、東京五輪への旭日旗持ち込み禁止を求める国会決議採択など、反日姿勢が続く韓国でチョ氏が電撃的に職を辞したことは、次なる“異変”の前触れかもしれない。「とうとう若い世代が文在寅政権への“反抗”の狼煙をあげ始めたとみるべきです」 そう語るのは、元『週刊東洋経済』編集長で韓国経済に精通する勝又壽良氏。その指摘通り、現在の韓国では、若い世代を中心に文大統領の支持率が就任後最低を更新している。たとえば世論調査会社リアルメーターが9月19日に公表した30代の支持率は60.3%から48.5%に急落し、20代も48.7%から43.7%まで下がった。 若者が反文在寅にシフトした象徴的な出来事として勝又氏が注目するのは「ハンギョレ内紛」だ。 9月6日、韓国の進歩派メディアであるハンギョレ新聞で前代未聞の出来事が発生した。文大統領が法務部長官に任命したチョ氏を批判する記事が編集局長の指示で削除されたり、内容を書き換えさせられたことに反発した入社7年目以下の若手記者31名が、連名で編集局長の辞任を求める声明を出したのだ。 文大統領寄りの姿勢が目立ち「文政権の御用新聞」と目されていたハンギョレの若手記者らの決起は韓国ウォッチャーを驚かせた。 勝又氏が注視するのは、声明で若手記者らが韓国の「86世代」を「進歩既得権層」と称して痛烈に批判したことだ。「86世代とは1960年代に生まれて、1980年代に学生運動で軍事政権と激しく渡り合った世代のこと。1997年の経済危機では入社間もなかったため解雇を免れ、その後の10年間で企業が採用を減らしたので社会的な昇進も早かったとされます。86世代は韓国で最も恵まれた世代であり、文政権の中枢を占めている。完全な左派であるハンギョレの若手が、文政権の要であり、その支持層でもある86世代をひっくるめて“既得権益を享受する階層”とみなして批判したことには、大きなインパクトがあります」(勝又氏) 激しい異議申し立ての背景には、韓国の若者を取り巻く厳しい経済環境がある。2017年4月の就任以来、文大統領が目玉政策として促進した最低賃金の大幅引き上げと週52時間労働制(従来は同68時間)は、企業活動を圧迫して景気を停滞させた。2018年、韓国の毎月の失業者は平均100万人超に達し、最も不況のあおりを受ける若者の「体感失業率」は今や25%を超えると言われる。 若い世代の経済的困窮は激しく、韓国労働研究院が今年8月に発表した調査結果によると、15~34歳の男女2500人のうち、1か月間の貯蓄が「0ウォン」と回答した層が23%に達した。 こうした若者の苦境を文大統領の政策が救うことはなかった。「そもそも朴槿恵前大統領を最前線で追及した20~30代の若者は政権交代による政治のクリーン化や景気回復に大きな期待を賭けていました。ところが文大統領と取り巻きの86世代は反日米・親中北政策を進める一方で、肝心の経済政策はまったくの的外れで若者は朴時代以上に貧窮しました。 今年4月に韓国大統領府で行われた文大統領と市民団体・社会運動団体の懇談会では、『全国青年政策ネットワーク』の代表者が『政権が変わっても若者に対する政策は変わらない。若者の生活全般を重視する様子が見られない』と涙ながらに訴えるハプニングがありましたが、文大統領がこの切実な訴えに直接答えることはありませんでした」(勝又氏) 韓国の若者にとって最大の困難は就職である。昨年、日本の大学の新卒者就職率は過去最高の98%だったが、韓国の最近の大卒就職率は7割に満たない。また今年8月の日本の有効求人倍率は1.59倍だが、最近の韓国は0.6倍前後にとどまる。 職に就けず苦しむ韓国の若者が一縷の望みを託すのが、好調な雇用を維持する日本企業への就職だ。たとえば今年6月に韓国貿易協会が主催した合同面接会「日本企業採用博覧会」は、日本企業42社が約100人を選考するのに対して、約1600人の志願者が集まる盛況ぶりだった。 ところが文大統領の反日政策は、こうした若者の希望の芽を摘み取ってしまった。「今年9月にソウルで開催される予定だった日本企業の就職説明会『2019下半期グローバル雇用・大田(テジョン)』は文政権の意向で中止になりました。これを受けて韓国の学生は『国内のIT大企業の正社員開発者の採用は競争率が300倍。新人を採用する企業があまりにないので日本での就職を考えたのに、外交摩擦のために政府が乗り出して自国の若者たちの国外就職の道を阻むなんて、とんでもない』と現地紙に怒りをぶつけていました」(勝又氏) 韓国社会に夢も希望も持てない若者たちが直面したのが、チョ氏の「裏切り」だ。「革新派で清潔なイメージのあるチョ氏でしたが、よりによって親の七光りで娘の就職を優遇させたとの疑惑が持ち上がり、86世代がその不正にフタをしようとした。20~30代の若い世代にしてみれば、“信じていたのに裏切られた”との思いでしょう。韓国の若者は反日教育を刷り込まれてきましたが、ここに来て既得権益層が本当の敵であることに気づいたのかもしれません。文大統領の支持率低下とハンギョレ若手の反乱はその現われと言えます」(勝又氏) 朴槿恵前大統領を奈落の底に突き落としたロウソク革命の原動力となったのは、若者の絶望感から湧き上がる怒りだった。「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」というカール・マルクスの至言は、韓国の左派政権で現実となるだろうか。●取材・文/池田道大(フリーライター)
2019.10.16 07:00
NEWSポストセブン
韓国、歴代大統領の訴追や弾劾 背景に腐敗生まれやすい構造
韓国、歴代大統領の訴追や弾劾 背景に腐敗生まれやすい構造
 韓国の大統領(任期5年)は憲法上、米国の大統領より強大な権限を与えられている。行政府の長として日本の内閣に相当する「国務会議」を主宰し、国務総理(首相)や大臣(行政機関の長)を任命し、さらには宣戦布告する権限を持つだけではない。 韓国憲法では〈大統領は、条約を締結し、批准し、外交使節を信任し、接受し、または派遣するとともに、宣戦布告及び講和を行う〉(73条。有信堂高文社刊『世界の憲法集』の尹龍澤・創価大学教授による訳文。以下引用は同書による)とされ、その権限は国軍を統帥(74条)し、非常事態が起きたときの命令権(76条)、戒厳の宣布(77条)から大法院長(最高裁長官に相当。任期6年)の任命権(104条)、憲法改正の発議権(128条)まで及ぶ。 それほど強大な権限を持ち、憲法で〈在職中、刑事上の訴追を受けない〉(84条)という不訴追特権まである韓国の大統領だが、退任後はその多くが弾劾、逮捕、訴追を受けてきた。 これも日本では分かりにくい韓国政治の謎だ。 韓国の12人の歴代大統領のうち、1人は海外亡命(李承晩)、1人は暗殺(朴正煕)、1人は収賄容疑で捜査中に投身自殺(盧武鉉)、1人は弾劾で失職(朴槿恵)し、4人は訴追されて2人が懲役(全斗煥、盧泰愚)、残る2人(李明博、朴槿恵)は公判中だ。金泳三、金大中の2人の大統領も、本人は訴追されていないものの、どちらも息子が収賄で逮捕された。 なぜ、韓国の大統領は辞めると次の政権から“標的”にされるのか。産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は「権力の集中」にカギがあるという。「韓国には『人事が万事』という言葉があります。大統領には大臣、大法院や憲法裁判所の長官、公務員まで人事権が集中している。政権交代があれば、政府系財団まで大統領寄りの人間が任命されます。現在の文大統領も、就任後に大法院長を大抜擢したのをはじめ、公共放送のKBSやMBCでも経営陣が刷新された。前政権との癒着を断ち切る“正常化”という名目でトップが交代したのです。 それが家族主義や人脈社会の土壌と相俟って、権力に便宜を図ってもらおうという勢力が大統領の親族や側近に接近し、腐敗が生まれやすい。権力の座から下りると法で裁かれるという繰り返しを生んでいる」 韓国の憲法では大統領の任期は5年で、再選はできない。政権末期になると大統領の求心力が下がり、腐敗が表面化する。 大統領選挙のたびに与野党が交代し、新政権は政権浮揚のために前政権の腐敗追及に力を入れる。ある意味、日本の政治には欠けている政権交代によるチェック・アンド・バランスが極端に働いているとも言える。 しかしその結果、外交的には前政権の政策を全否定する事態も起きる。「戦後最悪」といわれる日韓関係を改善させるためには、韓国憲法の特徴と、それによって起きる日本とは異なる韓国政治の特質を認識する必要がある。善隣関係を築くために対話することは大切だが、「国のかたち」が異なるという前提を無視したままでは、その対話は実りあるものにはならないだろう。※週刊ポスト2019年10月11日号
2019.10.04 16:00
週刊ポスト
韓国大統領の「司法も動かす強大な権限」が日韓外交に影響
韓国大統領の「司法も動かす強大な権限」が日韓外交に影響
 日韓の外交的懸案の根底にある歴史認識問題を考えるとき、見落とせないのは韓国の司法制度、とくに「憲法裁判所」の存在だ。 韓国には最高裁(大法院)とは別に、違憲立法審査権を持つ憲法裁判所が設置され、大統領などに対する弾劾の審判も行なう。憲法裁判所の長官(任期6年)の任命も大統領の権限だ。李明博政権時の2011年8月、この憲法裁判所が日韓関係に重大な影響を与える判決を出した。 日韓請求権協定では戦争被害への補償について両国及び国民の間での請求権を「完全かつ最終的に解決」したと確認している。 しかし、元慰安婦女性らが韓国政府を相手取った訴訟で、憲法裁判所は「被害者らの日本に対する賠償請求権の有無を巡り、外交通商部長官が日韓の紛争解決に向けた措置を取らないことは違憲」と判決し、韓国政府に“日本との再交渉”を促したのだ。 この判決をきっかけに韓国大法院(最高裁)は元徴用工訴訟でも日本企業への賠償請求権を認めたが、個別の訴訟については昨年まで判決を出していなかった。 だが、文在寅政権が誕生して新たな大法院長を任命すると、韓国検察は前大法院長を「朴槿恵前政権の意向を受けて元徴用工らの民事訴訟の進行を遅らせた」との容疑で逮捕し、大法院は徴用工訴訟で日本企業に補償を求める判決を相次いで出している。最高裁長官が「判決を遅らせた」という容疑で逮捕されるなど日本の司法のあり方では考えられない。 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏は、「文政権寄りの大法院長が任命され、大法院も大統領の意向を忖度して判決を出すようになった」と語る。韓国大統領の権限が司法も動かしているという見方である。 検察の捜査を受けて剥いても剥いても疑惑が出てくることから、韓国で「玉ねぎ男」と呼ばれている側近の曹国・元大統領府首席補佐官を文大統領が強引に法務大臣(法務部長官)に指名したことも、大統領の権限の強さを物語る。※週刊ポスト2019年10月11日号
2019.10.03 16:00
週刊ポスト

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