営業事務の女性部下と不倫中のAさんも、ある日、突然、この手で本社・営業部勤務から地方の小さな出張所への転勤を命じられた。

「理由は『取引先が担当者を変えなければ取引を停止すると、言っている』というものでした。取引先の担当者との関係は良好だったんです。聞いてみると、『そんなことは言ってない。こっちも急に担当者が変わるのは困るよ』と、全否定でした。

 そこで、人事部に問いただすと、『社外はもちろんですが、社内の『人間関係』は大丈夫ですか?』と、チクリと言われた。これで、転勤の理由は不倫だと、ピンときた」

 Aさんのように「取引先から苦情が入った」他、「部下の能力を引き出せていない」、というのが、不倫による左遷でよく使われる表向きの理由だ。

「不倫が理由の転勤は不当な配置転換として、裁判で争えば、勝算の見込みは十分ある。けれども、公に争えば、当然、妻や夫にバレてしまうわけです。不倫はしても家庭を壊す気はないという人がほとんどでしょう。結局、不当な辞令を黙って受け入れるしか選択肢はないのです。

 また、出生競争の足の引っ張り合いのトラップだったり、最近では、リストラの材料作りのために、不倫を仕向けられるケースも聞きます。定年まで無事に勤め上げたければ、不倫とは無縁の会社員生活を送るのが賢明です」(稲毛氏)

 不倫はドラマの世界で楽しむのが安全だ。

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