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水産系居酒屋躍進の理由 食のエンタメ性、魚離れなどにあり

 今や、どの街でも必ずといっていいほど見かける“○○水産”という看板を掲げた水産系居酒屋。数年前から出始め、ここ数年急に勢いを増しているのはなぜか。ブームの理由をトレンドウォッチャーのくどうみやこさんに聞いた。

 くどうさんが考える人気の要因は、大きく分けて3つあり、ひとつは外食産業のトレンドによる影響とみる。

「スタンディングで食べるイタリアンやフレンチ、ステーキなど、質のいい食材をリーズナブルに食べられる気取らないお店が今、外食産業のトレンドです。そういった流れにあって、漁港から直送される新鮮な魚介類をリーズナブルに提供している水産居酒屋も、“良い品を手頃な価格で”と考えている今の消費者のニーズにすごく合っています。そういう意味でウケているのがまず理由のひとつです」(くどうさん)

 もうひとつは、水産系居酒屋は“浜焼き”がウリであること。都心にいながら漁港の居酒屋気分、海の家にいる気分を味わえることだという。

「近年、アウトドアブームの流れで若者を中心にBBQの人気がすごく高まっています。渋谷の百貨店は屋上にBBQを期間限定でオープンしました。手ぶらで準備もいらずに都心でちょっとアウトドア気分を味わえるのが飲食全体のトレンドとしてありますので、その流れのひとつとして水産系や浜焼きも人気なのだと思います。わざわざ海まで行くのは大変ですが、たいてい店内に水槽がある水産系居酒屋ならちょっとした海気分も味わえます。

 それに今、海や河川敷でのBBQを禁止するところが多いんですよね。特に夏から秋はアウトドア気分が高まるのに海や河川敷でNGとなると、“じゃあどこでやるの?”と思いますよね。お店でできるなら、後片付けもいらないし手軽にできますから、都心で気軽にアウトドア感覚を楽しめる“食のエンタメ性”も人気の理由と分析しています」(くどうさん)

 3つ目に、消費者の魚離れが原因とくどうさんはいう。

「魚食が主流だった日本で肉が主流になって魚の消費量が減少する食の欧米化がよく言われています。魚を食べなくなった理由として、調理が面倒、さばけない、手が汚れる、ごみの魚臭さが気になるなどから家庭で魚を調理しない人が増えています。でもそうは言っても、昔から日本は魚食文化ですから魚好きな人は多いんですよね。おいしい魚を見極める舌も日本人は持っていますので、家では食べないけれど外で食べたいので、海鮮居酒屋が日本人にはすごく受ける。

 主にこれら3つの要因で、今すごく勢いを増しているのかなと思っています。水産系居酒屋にはいろいろな外食産業のトレンド要素がいっぱい入っているんです」(くどうさん)

 ここ2~3年ほどで、都心の繁華街で漁港・産地直送の水産系居酒屋が続々とオープンしているが、中でも現在70弱の店舗を展開する磯丸水産の勢いがすごい、とくどうさん。

 実際、ブームの火付け役となった磯丸水産は人気を受けて、7月に4店舗オープン、8月にも1店舗オープンと着々とエリアを広げている。

「水産系居酒屋は当初、都心に1~2店舗あった程度でしたが、各地に一気に店舗を広めた磯丸さんの力は大きいと思います。それに伴って、さくら水産などチェーン展開の店が増えてきたことで、全国的に水産系居酒屋の知名度が上がり、盛り上がった感じがあります。驚いたのは、磯丸さんは24時間営業なんですよね。ライフスタイルは今、多様化していますから、そこにうまく対応していますね。“あそこならいつでも開いている”という、コンビニ感覚で行ける手軽さも人気に拍車をかけたと思います」(くどうさん)

 磯丸水産は2009年、吉祥寺に1号店を開業した当初から、多くの行列ができる人気ぶりだったと同社の企画・管理本部、坂本聡さんは語る。人気の理由は、

「できあがった料理を食べるだけではなく、サザエやホタテなどをお客さまご自身が卓上コンロで目の前で焼き上げる迫力、食の喜びが気軽に楽しめることだと思います。また、居酒屋としては珍しく基本、24時間営業なので、コンビニのようにいつでも気楽に来られる気楽さ、利便性をご支持いただいています。

 浜焼きだけではなく、一品物、お食事デザートなど他のメニューも充実していることから、女性のお客さまの利用も多くいただいています」(坂本さん)

 水産系居酒屋は今も、各社新規オープンの真っ只中。このトレンドは、まだしばらく続きそうだ。

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