ビジネス

森永卓郎氏が「政府の景気見通しは楽観的すぎる」と語る根拠

 4月の消費増税後、日本の景気の腰折れ懸念が出ているが、政府が発表する景気判断はそこまで悪いものではない。だが、この発表は楽観的すぎるというのは経済アナリストの森永卓郎氏だ。森永氏が、日本の景気悪化を裏付けるデータの数々を明かす。

 * * *
 政府の今の景気への見通しは、とにかく楽観的すぎると言わざるを得ません。7月の月例経済報告では、景気の基調判断を6か月ぶりに上方修正し、「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動も和らぎつつある」と変更しました。さらには、日銀も、ほぼすべての御用エコノミストの皆さんも、同様の見解で口を揃えています。

 だが、実際の経済統計を見ると、私は「それは本当か」と思えてなりません。まず、現状の個人消費はものすごく落ちています。総務省が発表した5月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は前年同月に比べて何と8.0%減となりました。6月の同調査では3.0%減とマイナス幅は縮小したとはいえ、3か月連続でのマイナスとなっているのです。

 日本株の株価の動きを見ても、年初の日経平均株価が1万6000円台だったことを考えれば、軟調な推移です。その間、米国の株価は史上最高値を更新しているのに対して、日本の株価は昨年の急上昇相場から転じて、今年は横ばい状態に陥っています。今後も、年末に向けて日本の株価は一時的に1万4000円割れもあり得るほど、低めに推移すると見ています。なぜなら、所得はほとんど伸びていないにもかかわらず、物価が上昇しているからです。

 厚生労働省が発表した毎月勤労統計によると、労働者の現金給与総額は5月が前年同月比0.8%増、6月が同0.4%増と、賃金は1%も上昇していないのです。一方で、物価はものすごく上がっています。たとえば、6月の全国の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が前年同月比3.3%増となっています。賃金が増えずに物価が上昇する中で、消費が増えるはずはないのです。

※マネーポスト2014年秋号

関連記事

トピックス

2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志と浜田雅功
《松本人志が11月復帰へ》「ダウンタウンチャンネル(仮称)」配信日が決定 “今春スタート予定”が大幅に遅れた事情
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
“新庄采配”には戦略的な狙いがあるという
【実は頭脳派だった】日本ハム・新庄監督、日本球界の常識を覆す“完投主義”の戦略的な狙い 休ませながらの起用で今季は長期離脱者ゼロの実績も
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
電撃結婚を発表したカズレーザー(左)と二階堂ふみ
「以前と比べて体重が減少…」電撃結婚のカズレーザー、「野菜嫌い」公言の偏食ぶりに変化 「ペスカタリアン」二階堂ふみの影響で健康的な食生活に様変わりか
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗「アラフォーでも美ボディ」スタートさせていた“第2の人生”…最中で起きた波紋
NEWSポストセブン
駒大苫小牧との決勝再試合で力投する早稲田実業の斎藤佑樹投手(2006年/時事通信フォト)
【甲子園・完投エース列伝】早実・斎藤佑樹「甲子園最多記録948球」直後に語った「不思議とそれだけの球数を投げた疲労感はない」、集中力の源は伝統校ならではの校風か
週刊ポスト
音楽業界の頂点に君臨し続けるマドンナ(Instagramより)
〈やっと60代に見えたよ〉マドンナ(67)の“驚愕の激変”にファンが思わず安堵… 賛否を呼んだ“還暦越えの透け透けドレス”からの変化
NEWSポストセブン