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定年後男性のご近所トラブル あいまいな目的と雑務が引き金

 今年は、団塊世代が65歳定年の節目を迎え退職がピークになるなか、「地域デビュー」という言葉が脚光を浴びている。

 最近では、自治体がボランティア活動や高齢者向けの趣味のサークルへの参加を呼び掛ける「地域デビュー講座」も頻繁に催されている。それまで妻任せだった「ご近所づきあい」に定年後の男性が続々と参入しているのだ。

 しかし、新たな人間関係に身を投じることで、「ご近所トラブル」を引き起こしてしまう悲劇も増えている。

 今年8月、愛知県清須市で71歳の町内会区長が67歳の副区長の腕や腹に果物ナイフを何度も突き刺して逮捕される事件が起きた。町内会の会合中に副区長の発言に激高した区長が、突発的にナイフを手にしてしまったのだ。

 長崎県佐世保市でも、町内会の活動中に傷害事件が起きた。2012年6月、佐世保市内では町内会ごとに住民がごみ拾いや草刈りをする「市民大清掃」が行なわれていた。

 その最中、木の枝をチェーンソーで伐採していた73歳男性に、高枝切りばさみを持った74歳男性が「音がうるさい!」と不満を言った。すると73歳の男性が激高。手にしたチェーンソーを相手の眼前に突き出した。

 74歳男性も負けてはいない。チェーンソーに怯むどころか、逆に高枝切りばさみを相手の首に押しつけ、切り傷を負わせてしまった。74歳男性は傷害容疑で、73歳男性は暴力行為法違反容疑で逮捕され「喧嘩両成敗」となったが、一歩間違えれば大惨事となっていた。

 定年後の男性が衝突する「ご近所トラブル」は、町内会・自治会が舞台となっていることが多い。

『“町内会”は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~』(小学館新書)の著者、紙屋高雪氏が解説する。

「町内会は“地域の皆さんで仲良くしましょう”という極めて曖昧な目的しかない割に、チラシの配布やイベントへの動員など求められる雑務は多い。だから男性参加者はストレスをため込みやすく、つい感情的な行動に出てしまいがちです。

 定年男性が現役時代に所属していた企業などには“ノルマを達成しよう”“プロジェクトを成功させよう”という組織共通の目的があったため、多少の人間関係の軋轢には目をつぶることができた。しかし町内会ではそうはいかず、トラブルが起こりやすい」

※週刊ポスト2014年10月17日号

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