ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
劇的なプレーオフを制しての戴冠だった。女子ゴルフの米ツアー「シェブロン選手権」で海外メジャー初優勝を飾った西郷真央(23)。昨季から本格的に拠点を米ツアーに参戦、2年目で日本勢5人目となるメジャー制覇の栄冠に輝いた。
「ルーキーイヤーの昨年は29試合に出場。優勝こそありませんでしたが、2位が2回、メジャー大会でも『全米女子プロ』『全英女子オープン』でともに7位と安定した結果を残した。その成績が評価されて、日本人としては日本女子プロゴルフ協会会長の小林浩美以来の『ルーキー・オブ・ザ・イヤー』に選ばれました。今回はその実力が発揮された形です」(ゴルフ担当記者)
身長158cmの西郷は決して大柄なほうではない。今大会では高いフェアウェイキープ率と正確なアイアンを磨いて屈指の難コースを制した。この正確無比なアイアンを生んだのが、ジャンボ尾崎(78)主宰の「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」での指導だ。
「西郷は高校1年時の2018年に、設立されたばかりのアカデミーの1期生として入門。ジャンボが“西郷どん”と呼んで可愛がる秘蔵っ子です。実力の面でも早くから“ゴルフ脳の高さはトップクラス”と高く評価していました。プロテストにも17歳で一発合格し、ルーキーの頃から活躍。2年目には5勝を挙げて順風満帆でしたが、2年目の秋に異変が起こった」(同前)
4日間で「35オーバー」の屈辱も
西郷は突如としてドライバーの不調に陥り、右に左にOBを連発。その年の最終戦では4日間で35オーバーというスコアも記録し、「ティショットを振るのが怖い」と“イップス”状態を告白。この窮地を救ったのは、やはり師匠・ジャンボの言葉だった。ゴルフジャーナリストが言う。
「西郷は『クラブを握らずゼロから作り直したい。ジャンボ邸で練習します』と、ジャンボ邸に籠ったそうです。西郷は“練習の鬼”として知られていたが、この時はクラブを握らず、ゴルフの練習からは距離を置いた。その後、再びクラブを握るとジャンボが見守るなか、ひたすら振りまくったそうです。そしてジャンボから“もう大丈夫だ”という言葉をもらい、ツアーに復活。その後は再び活躍できるようになった。今回のメジャー優勝には師匠も感慨深いはずです」
苦難を乗り越えた先の頂だった。次に迫るは5月29日から始まる米メジャー第2戦「全米女子オープン」。メジャー覇者として再びの雄姿を期待したい。
※週刊ポスト2025年5月23日号