ビジネス

「第3のビール」に値上げ危機 酒税法見直しは本当に必要か

酒税法改正は「ビール離れ」を加速させかねない

 2005年から10年連続で出荷量が減少し続けているビール市場。少子高齢化や若者の「ビール離れ」、チューハイやハイボールなど他のアルコール飲料にシフトしていることもあり、減少傾向に歯止めがかからない。

 大手ビールメーカー各社は、麦芽比率を抑えた「発泡酒」や、大豆・トウモロコシなど麦芽をまったく使わない「第3のビール」を低価格で販売して“ビール党”の支持を繋ぎ止めてきたが、今後の需要回復はなお不透明といえる。

 なぜなら、ビール価格に大きく跳ね返る酒税の見直し時期が迫っているからだ。

「政府は年内にまとめる予定の税制改正の中で、ビール77円、発泡酒47円、第3のビールに28円かけられていた酒税額を約55円で揃えようとしています。低税率のビールばかりが人気になると税源が確保できないとの危機感があり、ジャンルを問わず一律にすることで帳尻を合わせようとしている」(全国紙経済部記者)

 もし、この案が実現すれば、ビールは22円の減税になる一方で、低価格が売りだった第3のビールは27円の増税になり、値上げせざるを得ない状況に追い込まれる。

 自民党の野田毅税制調査会長も、かねてより

<本来は本物のビールを飲みたいのに、値段が安いので発泡酒や第3のビールにシフトしているということは、あるべき姿から言うと、ちょっと違う>

 などと、税率格差を疑問視する発言を繰り返してきた。

 こうした国の動きに反発を強めているのがメーカーだ。近著に『サントリー対キリン』(日本経済新聞出版社)がある経済ジャーナリストの永井隆氏がいう。

「アサヒビールやサッポロビールのように、ビールの販売比率が高いメーカーは多少の減税で販売アップも見込めますが、キリンビール『のどごし〈生〉』やサントリー『金麦』のように第3のビールのシェアが高いメーカーは、税制の行方によって販売戦略の転換を迫られることになるでしょう」

 すでにキリンは主力ブランド『一番搾り』のテコ入れを図ったり、税率がほぼ変わらない見込みの発泡酒『淡麗』のブランド強化をしたりと、“増税シフト”を敷いている。クラフトビールに力を入れているのも、税率が発泡酒扱いだからとの見方もできる。

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン