こうしてみると、いま世界は平和と安定、秩序を無視する勢力とそれに対抗する勢力の戦いになっている。「平和と繁栄の時代」から「テロと戦争の時代」に大きく変わりつつあるのだ。
一連の変化はけっして偶然ではない。ロシアのクリミア侵攻は中国に刺激された。またロシアの侵攻も中国を刺激した。テロリストの行動だって中ロ両国の傍若無人ぶりに触発された面がある。
米国の衰退で事実上「おとがめなし」になったからこそ暴力が野放しになった。無法が無法を呼んだのである。
そんなテロと戦争の時代に株価は安定して上がり続けるだろうか。それは難しいだろう。リスクがあふれた世界でリスク商品に投資するのは、火事場で焼き芋を探すようなものだ。みんな丸焦げになるのが関の山ではないか。
私は株をやらない。だから株式市場も投資家の立場で見ていない。人々の投資行動に興味があるだけだ。それで言えば、3月は企業の決算期である。プロたちは「ここで、ひとまず手仕舞いして利益確定を」と考えてもおかしくない。
■文・長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ):東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)
※週刊ポスト2015年3月13日号