『日経ヴェリタス』(2月22日発行号)が小さなコラム欄で、ネットフリックスの全編一気配信サービスなどでドラマの視聴スタイルが変化しつつあることに触れ、〈(ドラマの「一気見」は)中毒性が高く、視聴者のメンタルヘルスに影響を及ぼす可能性がある〉と米テキサス大教授の指摘を紹介し、この黒船を否定的に報じた程度だ。いうまでもないが、民放キー局と大手紙は資本関係にある。

 もちろん内心では、視聴者を奪われないかと焦りまくっている。ネットフリックスが日本進出を発表した8日後の2月12日、民放キー局5社のトップが会合を開いた。主要議題となったのは、放送後も1週間程度、番組をインターネットで視聴できるようにする「見逃し配信」の共通システムの確立についてだった。

 2011年7月の地デジ化以降発売のテレビの多くはネットと接続可能であり、ネット経由で様々な映像を視聴できる環境が全国的に整ったことが背景にあるが、ネットフリックスを意識した議論であることは間違いない。

 会合では「見逃し配信もリモコンの専用ボタンを検討」という案が出たが、そもそも見逃し配信システムが確立できるかも怪しい。ネット配信を前提にすればCM広告料が安くなり、従来のCM広告収入ビジネスが成り立たなくなるからだ。

※週刊ポスト2015年3月27日号

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