投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、4月6日~4月10日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、安倍政権が統一地方選挙に向けて円安を抑制するスタンスを強めていること、日本銀行金融政策決定会合で現状の金融政策の維持観測から、弱含みに推移すると予想される。しかし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や民間機関投資家による外貨建て資産投資増額期待は残されており、ドルの下値は限定的か。
リスク要因としては、米国議会で環太平洋経済連携協定(TPP)に為替条項を盛り込む可能性が強まった場合、中東の地政学的リスクが緊迫化した場合、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念などが挙げられる。
【日本銀行金融政策決定会合】(7-8日)
日本の2月のコアインフレ率は、前年比+2.0%となり、消費増税の影響(日銀試算では+2.0%)を除くとゼロに低下した。黒田東彦日銀総裁は、原油価格が続落した場合、マイナスに落ち込む可能性を警戒しており、マイナスに落ち込む前に追加緩和策に踏み切るのではないか、と予想されている。4月30日の日本銀行金融政策決定会合では、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)が公表されることで、追加緩和策が打ち出されるのではないかとの期待感が高まっている。
リスクシナリオとして、3月日銀短観で企業と家計の物価見通しが下がっていなかったことで、黒田日銀総裁が「企業・家計のインフレ期待は堅調」と判断し、当面の追加緩和の可能性を打ち消した場合となる。
【3月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録】(8日)
3月17-18日のFOMCでは、利上げ開始まで「忍耐強く」という文言が削除され、「労働市場の一段の改善と、インフレが中期的な目標である2%まで上昇するとの理にかなった自信が生まれたときに利上げに転じる」と表明された。FOMC議事録では、フォワードガイダンス(将来の金融政策指針)に対する見解、利上げ開始時期に関する協議に注目することになる。
4月6日-10日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。