ビジネス

EV登場で既得権益層は危機感抱いた FCVの場合はどうなるか

 2006年に米国で公開されたドキュメンタリー映画に、『誰が電気自動車を殺したか?』という作品がある。

 1996年、米・カリフォルニア州のZEV規制を受けたGMは、電気自動車「EV1」650台をリース販売。予約が殺到する大人気となったが、ある日突然、販売は中止された。GMのみならず、EVを販売していたフォードやトヨタ、ホンダも同様の措置をとり、それ以降、各自動車メーカーのEVは市場に出回らなくなった。

 EVの普及を「殺した」のはガソリンの消費減少を恐れた石油メジャーや、本当はガソリン自動車を作り続けたい自動車メーカー自身で、「EVの普及により既得権益を失う層が抵抗した」とするストーリーだ。当時のEVの価格と性能を考えれば直ちにガソリン車を脅かす存在とはなり得なかったはずだが、EVの登場に既得権益層が危機感を抱いたのは事実だろう。ではEVと並ぶ新技術であるFCV(燃料電池車)も、同じように既得権益層の抵抗に遭うのだろうか。

 実は、FCVを巡る動きは真逆だ。石油や天然ガスの元売りや自動車メーカー、そして、エネルギー族と呼ばれる議員らはこぞって水素社会を推進しようとしている。

 ジャーナリスト・清水典之氏は、「既得権益を守るための枠組みが水素社会」とした上でその理由を説明する。

「水素と聞くとまったく新しいエネルギーのように思えますが、実際は化石燃料から製造するため、既得権益層は従来と同じビジネスを続けることができるのです。自動車メーカーも、簡単に作れるEVが普及すると業界への新規参入を招いてしまい、エネルギーのインフラも電力会社に牛耳られるので、それよりはマシだと考えているでしょう」

※SAPIO2015年5月号

関連記事

トピックス

羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
「礼を尽くさないと」いなば食品の社長は入社辞退者に“謝罪行脚”、担当者が明かした「怪文書リリース」が生まれた背景
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン