だが、原因が「買えない」にしろ「買いたくない」にしろ、30代の消費の落ち込みは日本経済の行方に大きな懸念を生む。埼玉学園大学経営学部の相澤幸悦・教授(経済学)が語る。
「本来なら、不動産や自動車、子供の教育費などで消費が最も多くなるはずの30代は“借金してでもモノを買う”世代です。この世代の消費が最も落ち込んでいるというのは、世界的に見ても異常事態といえる。
給料が上がる時代なら多少借金してでも消費に向かえたが、今は将来への不安から節約し、生活防衛している。30代が今後の景気回復に信頼を全く置いていないということ自体が、アベノミクスの失敗を端的に物語っています」
安倍首相は消費税10%への再引き上げを2年後に先送りしたが、一方で中学生以下の子供を持つ子育て世帯に支給する「子育て世帯臨時特例給付金」を1万円から3000円に減額するなど、30代にさらなる負担を強いる政策を進めている。
30代の消費低迷の解決は喫緊の課題なのに、アベノミクスは逆に、「おとなしい30代から搾れるだけ搾り取れ」と苛政を加速させている。
※週刊ポスト2015年4月24日号