国内

首相と旧知の議員 「晋ちゃんは東大出とエリート官僚が嫌い」

「安倍家」「岸家」という名門政治家血族の取材を40年以上にわたって続けてきた政治ジャーナリスト・野上忠興氏が『週刊ポスト』でレポートしている大反響のノンフィクション。今回は「学歴」のキーワードから安倍晋三首相の実像を掘り下げる。(文中敬称略)

 * * *
 安倍・岸家はいわば「東大法学部進学」を宿命づけられた家系といえる。

 安倍の祖父である岸信介(元総理大臣)は東大法学部で我妻栄(日本の民法学の権威として知られる法学者)と首席を争った秀才で、大叔父の佐藤栄作(元総理大臣)、父方の祖父の安倍寛(元衆議院議員)、父の安倍晋太郎(元外務大臣)も東大法学部出身だ。

 安倍3兄弟のうち、2歳年上の兄・寛信(現・三菱商事パッケージング社長)と晋三は成蹊小、岸家に養子に行った5歳下の弟・信夫(現・衆院議員)は慶応幼稚舎に入学、いずれもエスカレーターで大学まで進んだが、母の洋子は「中学受験を考えたこともある」と明かしている。

「父や夫も東大で、“東大じゃないと”みたいなところがあった。でも、晋三にそんな意識はあんまりなかったみたい。結局、父も『成蹊は一貫教育がいいんだ』ということで、そのまま上に進むことになった」

 だが、高校生になると、父・晋太郎は政治家志望の安倍に「東大へ行け」と分厚い漢和辞典で頭を叩いて勉強を強いるようになる。「勉強はあまり好きじゃなかった」と認める安倍が反発したことは前号で触れた。

 実は、安倍内閣には東大出身者が少ない。「お友達」と呼ばれる中で東大出身は厚労相の塩崎恭久くらいで、東大から大蔵省というエリートコースを歩んだ経産相の宮沢洋一など計4人しかいない。

「晋ちゃんは東大出身者とエリート官僚が嫌い。議員でも東大出身者とは肌が合わないのか敬遠する傾向がある。エリートだった祖父や父に対する学歴コンプレックスの裏返しではないか」とは安倍と付き合いの長い議員の見方だ。

 大学進学にあたり、政治家志望の安倍は成蹊大学法学部政治学科を選ぶ。「子供の頃から政治家は嫌だった」という寛信は同じ成蹊大学の経済学部に進んでおり、兄との道が分かれた。

 赤いアルファロメオで通学し、アーチェリー部に所属しながら学園生活を謳歌した安倍は、授業には熱心ではなかったようだ。学友の1人の証言。

「アルファロメオで通っているヤツがいると皆で驚いたら、安倍君だった。当時は学習院のアーチェリー部に可愛い女子部員が多くて、今でいう合コンに誘ったり、吉祥寺の行きつけの雀荘によく通って遊んだものだった。安倍君は小遣いが少なかったようで、互いに“マージャンに負けたら帰りの電車賃がなくなる”と必死で打ったものだ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト