国内

福井地裁の原発運転禁止仮処分は「司法の暴走」と大前氏指摘

 2011年3月の東日本大震災以来、原子力発電所をめぐる議論は司法の場にも持ち込まれている。福島第一原発事故の原因を綿密に調査・検証した著書『原発再稼働「最後の条件」』(小学館)などで積極的に日本の原発について発言してきた大前研一氏は、高浜原発の運転禁止仮処分決定について「司法の暴走」ではないかと疑問を示した。

 * * *
 二つの原子力発電所の運転差し止め訴訟で、司法判断が分かれた。

 関西電力・高浜原発3、4号機(福井県高浜町)については福井地裁(樋口英明裁判長)が運転を禁じる仮処分決定を出し、九州電力・川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)については鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)が運転差し止めを求めた住民の仮処分の申し立てを却下したのである。

 しかも、福井地裁の樋口裁判長は、新規制基準は原発の周辺住民の生命、身体に重大な危害を及ぼす深刻な災害を引き起こす恐れが万が一にもないと言えるような厳格な内容であるべきなのに、「緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発(高浜原発)の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性を欠くものである」と結論づけ、半径250km圏内の住民の「人格権」(生命や身体、自由や名誉など個人が生活を営む中で他者から保護される権利。憲法第13条から導かれる基本的人権の一つとされている)が侵害される具体的危険性がある、と認定した。

 しかし、私は昨年5月に樋口裁判長が同様の論理で関西電力・大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じる判決を下した際も述べたように、この論理が全く理解できない。極めて重要な問題なので、改めて説明しよう。

 樋口裁判長は、事故が起きる可能性がゼロでない限り、原発を運転してはならないと言っているわけだが、この幼稚な論理が司法でまかり通ったら、世の中のすべての経済活動は一般住民が訴訟を起こしさえすれば止められることになる。

関連記事

トピックス

WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《独特すぎるゴルフスイング写真》“愛すべきNo.1運動音痴”WEST.中間淳太のスイングに“ジャンボリお姉さん”林祐衣が思わず笑顔でスパルタ指導
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
「どうぞ!あなた嘘つきですね」法廷に響いた和久井被告(45)の“ブチギレ罵声”…「同じ目にあわせたい」メッタ刺しにされた25歳被害女性の“元夫”の言葉に示した「まさかの反応」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
遠野なぎこと愛猫の愁くん(インスタグラムより)
《寝室はリビングの奥に…》遠野なぎこが明かしていた「ソファでしか寝られない」「愛猫のためにカーテンを開ける生活」…関係者が明かした救急隊突入時の“愁くんの様子”
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)が犯行の理由としている”メッセージの内容”とはどんなものだったのか──
「『包丁持ってこい、ぶっ殺してやる!』と…」山下市郎容疑者が見せたガールズバー店員・伊藤凛さんへの”激しい憤り“と、“バー出禁事件”「キレて暴れて女の子に暴言」【浜松市2人刺殺】
NEWSポストセブン
目を合わせてラブラブな様子を見せる2人
《おへそが見える私服でデート》元ジャンボリお姉さん・林祐衣がWEST.中間淳太とのデートで見せた「腹筋バキバキスタイル」と、明かしていた「あたたかな家庭への憧れ」
NEWSポストセブン
先場所は東小結で6勝9敗と負け越した高安(時事通信フォト)
先場所6勝9敗の高安は「異例の小結残留」、優勝争いに絡んだ安青錦は「前頭筆頭どまり」…7月場所の“謎すぎる番付”を読み解く
週刊ポスト
アパートで”要注意人物”扱いだった山下市郎容疑者(41)。男が起こした”暴力沙汰”とは──
《オラオラB系服にビッシリ入れ墨 》「『オマエが避けろよ!』と首根っこを…」“トラブルメーカー”だった山下市郎容疑者が起こした“暴力トラブル”【浜松市ガールズバー店員刺殺事件】
NEWSポストセブン
WEST.中間淳太(37)に熱愛が発覚、お相手は“バスり”ダンスお姉さんだ
《熱愛ツーショット》WEST.中間淳太(37)に“激バズダンスお姉さん”が向けた“恋するさわやか笑顔”「ほぼ同棲状態でもファンを気遣い時間差デート」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン