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日本の不動産に殺到する中国人 悪材料出れば一斉に売り逃げ

 首都圏の高級マンション販売が活況を呈している。新築マンションの販売価格も22年ぶりに5000万円台を超え、今年4月には5305万円に達した。今の不動産市場を支えているのはREIT(不動産投資信託)だといっても過言ではない。REITが新規物件をどんどん買ってくれることを前提に、大手ディベロッパーは新しいマンションやビルを建設している。

 そのREITを支えているのは、実は「年金積立金管理運用独立行政法人」などの公的資金だ。しかしその投資余力も限界が見えてきたとの思惑からREIT相場は調整局面に入っている。

 REITと並んで都心の不動産相場を支えているのがチャイナマネーだ。中国人や華僑の富裕層の投資資金が東京に殺到しているが、そうした資金は逃げ足が速い。榊マンション市場研究所の榊淳司・代表が指摘する。

「急激な円安で日本の不動産に割安感があるので、今は中国の個人投資家が運用目的で都心マンションなどをたくさん買っています。それだけに、値上がり期待が薄れたり、利回りが下がったり、アメリカが利上げするなどしてそちらの投資妙味が増せば、一気に資産を移すでしょう。彼らは日本での運用に懸念材料が出ると、一斉に素早く売りに動くという習性が見られます」

 実際、東日本大震災の際、中国人は保有していたマンションを損を覚悟で売り払い、東京の不動産市場から資金を一斉に引き上げたことがあった。

「現在、中国人は大震災前の数百倍の規模で日本の不動産を買っている。中国人は資産運用のために買っていて、その物件に住んでいない場合が多いので、暴落の兆しが見えればチャイナマネーは日本から一目散に逃げていくと思われます」(榊氏)

 待っているのは、つるべ落としのような大暴落だ。あっという間にマンション相場は下がり、売ってもローンだけが手元に残るので売るに売れない。そもそも住む人もいないのに投資目的で新築マンションが次々と供給されている中では、既存のマンションの価格はさらに下がる。自宅を担保にしている中小企業経営者は担保割れで廃業危機に追い込まれるという事態にもなる。不動産バブルを煽ったアベノミクスはそうして逆回転を始める。

「いまマンションは買いだ」と煽る政治家と大マスコミは現実がまるで見えていないのだ。

※週刊ポスト2015年6月5日号

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