ビジネス

郊外型カフェに丸亀参入 コメダ築いた「第3の場所」争奪戦

郊外を中心に600店以上出店するコメダ珈琲

 低価格うどんチェーン大手の「丸亀製麺」(トリドール)が郊外型のコーヒー店に本格参入すると発表したが、いま、喫茶店・コーヒー専門店は都心部よりもむしろ郊外のロードサイドで激しい出店競争を繰り広げている。

 市場調査会社の富士経済によると、カフェ市場全体は1兆3030億円(2013年)の売り上げ規模がある中、店員が席までコーヒーや食事を運んでくるフルサービス型の喫茶業態は年々市場を減少させている。

「都心では『スターバックス』や『タリーズ』に代表されるセルフ式のコーヒーショップが浸透していることに加え、コンビニの淹れたてコーヒーの人気で若者やビジネスマンが駅から近い気軽な業態に流れている」(フードコンサルタント)

 だが、その一方で名古屋に本拠を置く「コメダ珈琲店」が2003年に関東に進出して以来、郊外店を中心に600店以上に拡大させるなど、まだフルサービス型でも喫茶需要を掘り起こせることを証明してみせた。

 コメダが成功している要因はなにか。飲食業界のニュースサイト『フードスタジアム』編集長の佐藤こうぞう氏がいう。

「コメダの平日の客層を見れば分かりますが、近所に住む50代以上のシニア層や主婦層などが集まり、コーヒーを飲みながら1、2時間はゆっくりと滞在しています。店内は昔からある懐かしい喫茶店のイメージで、非日常の落ち着く空間が広がっている。

 常連客にとってコメダは自宅、職場に続く“第三の場所(サードプレイス)”として認知されています。たとえコーヒーの値段が割高でも、時間とくつろぎの空間を買いに行くという発想を持たれたことが急成長の秘密といえます」

 そんなコメダの成功モデルに追随しようと、他チェーンも続々と郊外出店を加速させている。「ドトールコーヒー」を運営するドトール・日レスホールディングスは、店で従業員が1杯ずつコーヒーを抽出し、パンケーキやドリアなどの食事も充実させたフルサービスの高級コーヒー店「星乃珈琲店」を約130店展開して売り上げは好調だ。

 同店をよく利用するという神奈川県在住の30代主婦は、「コーヒーはこだわりのメニューだと600円前後しますが、店内はアンティーク風の照明や黒を基調とした大きなソファがオシャレで、コメダ珈琲よりもくつろげる感じがする」と話す。

 サードプレイスをかけたコーヒー店の顧客争奪戦は、専門店だけの業態転換にとどまらず、ファミレス業界まで触手を伸ばしている。

 すかいらーくが今年3月、横浜郊外にオープンさせた「むさしの森珈琲店」は、“高原リゾートの喫茶店”がコンセプト。テラス席などに植物を多く植え、同社がメインターゲットに据える30~50代女性のリピーターを増やしている。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン