国際情報

中国寄りの専門家さえついに唱えだした「中国大崩壊」の論拠

 米紙ウォールストリートジャーナルに掲載された、ある中国専門家の論考が大きな波紋を広げている。習近平政権発足以降、中国崩壊論は数多発表されたが、これまでそれが現実となることはなかった。「崩壊」というフレーズは陳腐化してしまった感もあるが、今回は、なぜ大きな関心が払われているのか。中国事情に精通する富坂聰氏が解説する。

 * * *
 ジョージワシントン大学のデービッド・シャンボー教授が今年3月10日に発表した〈終焉に向かい始めた中国共産党〉が話題を呼んだ。

 タイトルの通り、中国共産党による支配が、今後〈終焉に向かうだろう〉ことを、理由を挙げながら指摘したコラムである。

 これが世界的な話題となった理由の一つは、チャイナハンド(*注)と考えられた人物が中国の崩壊に警鐘を鳴らしたからである。中国に対するスタンスは本人も認めているようで、天安門事件後に体制崩壊と衰退が不可避だと主張する中国ウォッチャーがいるなか、より慎重な立場をとってきたとしている。

【*注:中国の立場を理解する外交官、ジャーナリスト、学者の総称】

 つまり衝撃の正体は「あの中国にやさしい専門家さえ『危ない』といっている」という点にあるのだ。

 では、シャンボー教授に心変わりを促した中国の“危うさ”とはいったい何だったのだろうか。教授が披露する五つの視点から一つを紹介する。

 第一の視点は、人材の流出である。教授は、中国の富について研究している上海の胡潤研究院の数字、〈393人の億万長者――の64%は移民を実行しつつあるか、その計画を持っている〉(2014年に行った調査)ことや米国出産ツアーなどを取り上げて、最終的に中国を支えているエリートたちが、〈政権と国の将来に確信を抱いていない明確な兆候だ〉としている。

関連キーワード

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン