芸能

火野正平 セリフなく喋らず寝る芝居で伝えられたら理想だよ

 役者歴が50年を超えた火野正平にとって、芝居や、かっこよさへの意識が移り変わってきた。俳優を続けること、芝居を続けるための心がけについて火野が語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏の週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 火野正平は1990年のテレビドラマシリーズ『神谷玄次郎捕物控』でレギュラーながらもほとんどセリフのない役で出演、近年も映画『終戦のエンペラー』の東條英機役はセリフなしだった。火野はそうしたセリフのないような役でも、画面に映るだけで確かな存在感を放っている。

「そういう役をしてみたいと思ったのと、そろそろセリフを覚えるのが面倒になってきたんだよ。ただのズボラだよね。

 俺の一番やりたいのは『ジョニーは戦場へ行った』っていう映画のジョーの役だから。戦場で五感も両手足も失っているから、喋らなくていいし、寝ているだけだから、あんな楽な仕事はないよな……というのは冗談だけど。それで伝えることができたら、まあ理想だよな。

 今やりたい役は『無口なガンジー』。東條英機もやったし、あとこの頭でやれる役といったらガンジーやろ。顔も似てるよな。何も喋らずに無抵抗の抵抗をする。そういう役が来ないかなと思っているんだよ。

 自分の意識も若い頃から変わった。ずっとジェームズ・ディーンをやろうとしていたんだ。背中で淋しさを出そう、とかね。

 でも、ある時にジェーン・バーキンが来日した時の映像を見て驚いたんだ。バーキンが颯爽と歩いているのに後から小汚いオッサンが来た。腹がポテッと出ていてね。それが旦那のセルジュ・ゲンズブールだった。

 このイイ女がコイツに惚れているわけでしょう。バーキンにとっては世界一イイ男。

 その時、男って、こんな生き方もあるのかって思ったんだ。その辺から芝居が変わったんだ。柔らかくなったというか。ワンショットを見て『かっこええ』と思ってもらえるというのも男の姿やないのかな、と」

関連キーワード

関連記事

トピックス

永野芽郁のCMについに“降板ドミノ”
《永野芽郁はゲッソリ》ついに始まった“CM降板ドミノ” ラジオ収録はスタッフが“厳戒態勢”も、懸念される「本人の憔悴」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(Instagramより)
〈シ◯ブ中なわけねいだろwww〉レースクイーンにグラビア…レーサム元会長と覚醒剤で逮捕された美女共犯者・奥本美穂容疑者(32)の“輝かしい経歴”と“スピリチュアルなSNS”
NEWSポストセブン
スタッフの対応に批判が殺到する事態に(Xより)
《“シュシュ女”ネット上の誹謗中傷は名誉毀損に》K-POPフェスで韓流ファンの怒りをかった女性スタッフに同情の声…運営会社は「勤務態度に不適切な点があった」
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(時事通信社/読者提供)
《動機は教育虐待》「3階建ての立派な豪邸にアパート経営も…」戸田佳孝容疑者(43)の“裕福な家庭環境”【東大前駅・無差別切りつけ】
NEWSポストセブン
未成年の少女を誘拐したうえ、わいせつな行為に及んだとして、無職・高橋光夢容疑者(22)らが逮捕(知人提供/時事通信フォト)
《10代前半少女に不同意わいせつ》「薬漬けで吐血して…」「女装してパキッてた」“トー横のパンダ”高橋光夢容疑者(22)の“危ない素顔”
NEWSポストセブン
露出を増やしつつある沢尻エリカ(時事通信フォト)
《過激な作品において魅力的な存在》沢尻エリカ、“半裸写真”公開で見えた映像作品復帰への道筋
週刊ポスト
“激太り”していた水原一平被告(AFLO/backgrid)
《またしても出頭延期》水原一平被告、気になる“妻の居場所”  昨年8月には“まさかのツーショット”も…「子どもを持ち、小さな式を挙げたい」吐露していた思い
NEWSポストセブン
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン