ビジネス

メガネの良し悪し 意識するのは調整力が覚束なくなる50代~

 業界紙・専門誌のディープで興味深い世界をお届けします。今回は、眼鏡の専門誌。

『眼鏡』
創刊…1958年
発行…毎月15日発売
部数…7700部
読者層…眼鏡専門店、大手チェーンと本部、レンズ・フレームメーカーほか。
定価…年間購読8800円
購入方法…発売元・眼鏡光学出版に直接注文(眼鏡業界関係者のみ)。

 いつものように雑誌とテレビを交互に見ていたら、雑誌の活字が薄ぼんやりと見える。「もしや老眼?」と目をこすった日の、驚きと絶望といったらない。遠視ぎみの記者は、メガネ店とは縁がない。そこで名の通ったチェーン店に駆けつけ2万5000円で作ったが、半年もしないうちに見えにくくなってしまった。

 その後、4万円の大枚をはたいて遠近両用を作ってみたものの、納得のいく老眼鏡にはならなかった。

 深い青のフレームの、しゃれたメガネをかけた管野園子編集長(55才)を前にしたら、ついグチが出る。最近は3000円、5000円、9000円など3つの価格の3プライス店なども台頭してきて、2万円超をドブに捨てたかもしれない恨みがふつふつと湧く。

「そういう消費者の声を、専門店や大手チェーン店に届けようと座談会をしたのがこれです」と管野さんが開いたのが、『50代ミセスのメガネ座談会 メガネがわからないから「こんなものかなと諦めているところはあるね」』だ。

 まずは価格の話から。

〈O:チラシとか見て「あ、安い」と思って行くじゃない。でも乱視の度がけっこう強いので薄型にするとプラス5千円とかになって、結局、いつも落ち着くところは2万円弱…〉

 値段につられたものの、測定すると相応の値段になるのだそう。出席者からも値段と品質について不満が噴き出す。

〈K:これは○○(3プライス店)で買ったんだけど、…鼻のパッドがほら、すぐに取れるの。…それで調整に行ったら「あ、これは取れるんですよ」って。ありえないでしょ。…アフターサービスが安いなりだよね〉

 老眼鏡には虫メガネのような単焦点レンズと、手元から遠方まで見たい視距離にピントが合う機能を付加した累進レンズの2種類ある。百均ショップをはじめ、激安店の中心商品は単焦点レンズだ。

「ピントを合わせる調節機能は、誰もが加齢とともに低下します。目の筋力がある老眼初期なら、多少メガネの度が合わなくても、“自分の調節力”で見えますが、それだけ目に負担がかかっていることに気づきません。メガネの良し悪しが意識されるのは、主に調節力が覚束なくなってくる50代から。いいメガネは筋肉を酷使せず、つけたとたん、楽にちゃんと見えるんですよ」と、管野さん。

「消費者がいちばん誤解しているのは、遠近両用メガネ。これは、遠くから近くまでどこでも快適に見えるというわけではないんです。遠近、中近、近近など、用途ごとにいろいろな設計があるので、何をするときに使いたいかを明確にしないと、使い勝手のいいメガネにはなりません」

 さらに、遠くを見るときや、手元の文字などを見るときに視線が通るポイントは人それぞれ。それにきちんと合わせたレンズになっているかどうかなど、「快適なメガネは仕立てる眼鏡店の技術によって大きく差がつきます」と言う。

 その技術を集約させたのが、当誌の“野矢さんの眼鏡学講座”で、最新の技術を紹介して、不動の人気企画になっている。話をしながら、管野さんは記者の老眼鏡が気になる様子。

「あの~…、メガネがずり落ちてますよ。フレームのつるがかかる耳の高さが、瞳より高いとずり落ちて、逆だと上に反り返ります。どんなに測定して正確なレンズを作っても、顔に正しく収まっていないと機能性がまるで違ってきます」

 記者の4万円の遠近両用は、調整したらよくなるかも…。座談会に戻ろう。ひとりが、フレーム選びについてある専門店を絶賛した。

〈N:コンタクトして(老眼鏡を)買いに行くとしばらくはずしてからでないとちゃんと測れない。…その間…お店の人がアイパッドで候補のメガネフレームをかけた写真を撮ってくれて、自分のメガネとコンタクトをつけてから比べて見ることができるんです〉

 日本の全女性の2人に1人が50才以上の今、メガネを“見る目”に、ますます磨きをかけたいものだ。

取材・文/野原広子

※女性セブン2015年8月20・27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン