前述の厚労省の検討会でも、胃カメラによる検査はバリウム検査に比べて確実にがんを見つけることができると結論づけられた。
それを示す複数の根拠がある。たとえば新潟市では、2003年から独自の取り組みとして、胃がん検診に内視鏡検査を取り入れてきた。同市の検診で胃カメラを選んだ人とバリウムを選んだ人の結果を比べると、前者のほうが約3倍も発見率が高かった。
他にも、韓国で行なわれた20万人規模の調査では、内視鏡検査のみを検診で推奨することで、胃がんによる死亡率が57%低下したと報告されている。鳥取県を対象とした研究でも、胃カメラによる検査の導入で、胃がん死亡率は30%低下している。
国立がん研究センターがまとめる『有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン』では、これまで長くバリウム検査のみを検診方法として推奨してきたが、これらの研究結果が評価されるようになり、今年4月に発表された新ガイドラインで初めて内視鏡検査が推奨方法に加えられた。そのガイドライン変更が、今回の厚労省検討会の提言につながった。
※週刊ポスト2015年9月18日号