国際情報

韓国の理不尽主張に迎合する日本のマスコミ等は民主主義の敵

 産経新聞前ソウル支局長・加藤達也氏が書いた記事が朴槿惠大統領にへの名誉棄損にあたるとし、在宅起訴され、出国禁止措置を受けた件については、表現の自由や民主主義を脅かすものとして、世界的な話題となった。
 
 この件によって、韓国の司法が政治判断にも支配されていることが白日の下に晒されたわけだが、それは日本がかかわる場合にだけ適用されるわけではない。韓国経済にとって、巨大財閥グループの存在感が非常に大きいため、司直が恣意的にしか見えない判断を下す場合が多い。例えば、2009年8月にはサムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)・元会長が1128億ウォンの脱税などで懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けたが、同年12月には赦免されている。

 一方、国民感情が反映されたような判決が出ることもある。大韓航空の「ナッツリターン事件」の公判がそうだ。

 ナッツの出し方が気に食わないといって自社の飛行機をUターンさせた大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)・前副社長。財閥トップの長女という立場が生んだ驕りに、国民から猛批判が殺到した。

 彼女は公判の中で「私が悪かったのはわかっています」などと書いた反省文を声を震わせながら読み、ひたすら謝罪の意を表したが、それに対してソウル西部地裁は「自ら考えたのではなく、会社関係者が考えたとみられる。本当に反省しているのかは疑問」として、今年2月の一審では懲役1年の実刑判決を言い渡した(5月の二審判決で執行猶予付きに)。

 世論の風向きに敏感に反応しながら、判決を出しているように見える。裁判の中身だけではない。趙被告は検察による逮捕後、拘置所に移送される直前に報道陣の前に立たされ、数十人の記者にもみくちゃにされながら謝罪を繰り返した。

 世論の後押しがあれば、司法の場に移る段になっての“リンチ”のような行為も認められてしまう。

 1991年、異色の長編小説『恨の法廷』(徳間文庫)で、韓国の反日感情の本質を鋭く描き出した作家・井沢元彦氏は現実の法廷でも国民感情に流されたように見える判決が相次ぐことについて、こう語る。

「要するに韓国は本当の法治国家でもなく民主主義でもないということです。われわれ日本人はもっと韓国人の宣伝戦略に対抗してこうした事実を世界に訴えていく必要があります。

 肝心なのは、そうすることが結局韓国の真の民主化を促進し韓国人にとっても利益になることです。この点、韓国の理不尽な主張に迎合する日本の一部のマスコミや文化人は、日韓双方にとって民主主義の敵といっても差し支えないでしょう」

 こうした国民性を日本人はもっと理解した上で、この隣国との付き合い方を探っていかなければならない。

※週刊ポスト2015年12月18日号

関連キーワード

トピックス

本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン