韓国においてベトナム戦争における戦争犯罪の告発は、いまも大きなタブーだ。挺対協が後押しするベトナムピエタ像の建設は、韓国社会に大混乱を巻き起こす可能性が高い。
しかし日本陸軍士官学校の卒業生でさえあった“親日派”朴正熙氏の娘である朴槿恵大統領は、親日のレッテルが張られることを恐れ、挺対協をはじめとする国内の反日派におもねってきた経緯がある。
だからこそ、朴槿恵政権はソウル日本大使館前の慰安婦像について、「民間団体(挺対協)が建てたものだから、政府として強制撤去はできない」というロジックで難色を示しているのだ。
しかしそうなると、同じく民間団体が建てようとしているベトナムピエタ像も、朴槿恵政権は放置するしかないということになる。
朴槿恵大統領が反日姿勢で突っ走り、挺対協の活動を放置してきたツケがいま、回ってきたわけだ。しかし一方で、この像を放置すれば、自らの支持基盤である退役軍人たちの離反を招く。
まさに自縄自縛。どうする、朴槿恵!
※週刊ポスト2016年2月5日号