野呂:苦しかったです。それまでいつもテレビで活躍しているタレントさんたちと一緒に仕事していたのに、あれだけいい環境にいたのにって思うと…。劇場では主演をさせていただいていたのですが、そこで1位になってもしょうがないって気持ちが、どこかにありました。そんな時に、有吉さんに「全力でやれ、バカ!」って言われたんですよね。
――いい先輩ですね。
野呂:1年前くらいですけど、土田(晃之)さんにも、「やりづらい仕事があるときは、どうしたらいいですか?」って相談をしたら、「今その仕事があるのは、使ってくれる人がいるから。その人がいるからやれるってことを、忘れちゃだめなんだよ」ってアドバイスされました。
今はその言葉を頭に置いて、苦手なこともやっています。太田プロの先輩はみんな苦労しているから、的確なアドバイスが多いんです。
――土田さんは苦労しているイメージがありませんけども。
野呂:土田さんはメジャーになる前に、「もしテレビに出たら、こうやろう」と、テレビを見てシミュレーションしてたそうです。自分がおもしろいと思った漫才を完全コピーして分析したりとか、陰の努力がすごいんですよ。
「有吉は天才だけど自分は天才じゃないから、その分努力をする」っていうことも言っています。自分のことを客観的に見ているんです。土田さんの言葉に共感することがすごく多いですね。
周りの先輩って自分で道を見つけて、自力で這い上がった人たちばかりなんです。先輩がすごい分、私への風当たりが強いんですよ。「なんでお前はやらないんだ」って。つらいときもあります(苦笑)。でも、尊敬できる先輩に囲まれて幸せです。頑張らなきゃなって、やる気が出ます。
【野呂佳代(のろ・かよ)】
1983年10月28日 生まれ。東京都出身。2000年に芸能界デビュー。2006年、第二期AKB48追加メンバーオーディションに合格 。2009年よりSDN48としても活動開始、翌年完全移籍をしてキャプテンに就任。2012年にSDN48を卒業。現在、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)をはじめとして、テレビ、ラジオ、舞台などで活躍。4月23日より新国立劇場・中劇場で上演されるミュージカル『アニー』出演
撮影■田中麻以