「1か所の巡業の開催権を700万円(土日900万円)で勧進元に売る協会としては、今以上に日程を詰め込みたい。過密日程に反発する力士会との調整役を貴乃花親方にやらせる、というのが協会トップの思惑だろう。相手が貴乃花親方となれば、力士会会長である白鵬を中心とした力士たちも文句はいえないだろう、という計算も透けて見えます」(相撲担当記者)
多忙な巡業部長の立場では、貴乃花親方が掲げる協会改革には一切タッチできなくなりそうだ。
八角理事長は人事発表に際しての会見で、「本場所で力を出すには巡業での稽古が一番大切」と語って貴乃花親方を持ち上げてみせ、貴乃花親方は「以前に(巡業)副部長をやった経験を活かして活動したい」と語ったが、心中は穏やかではあるまい。この人事は2年後にある「次の理事長選」を睨んでのものだともみられているからだ。
「多忙なポストに就けておけば、2年後にまたある理事長選の多数派工作も難しくなる。もともと八角理事長サイドは貴乃花親方を『大阪場所担当部長』に据えようとしていたという情報もあります。大阪場所は3月開催なので、年明けから場所前まで準備に追われ、東京を留守にすることが多くなる。2年に1回の理事改選があるのは1月末。その直前に仕事が立て込むようにして、選挙に絡んだ活動をやりにくくさせるつもりだった。
この案は、過去に貴乃花親方が大阪場所関係者とトラブルを起こしていて、円滑な場所運営に支障を来す可能性があったため実現しませんでしたが、今回の人事が2年後の理事長選を見据えての布石だったことは間違いないでしょう」(前出の相撲担当記者)
※週刊ポスト2016年4月15日号