心房中隔欠損症の確定診断は、心エコーで行なう。胸の上からの超音波ではなく、食道内に内視鏡を入れて心臓の裏側から超音波でみる経食道心(けいしょくどうしん)エコーも登場し、孔の位置や大きさ、血液の流れなどが鮮明にわかる。
「心房中隔欠損症の治療として、慶応病院では2011年からカテーテル治療を取り入れ、年間約70症例と全国で一番多く実施しています。脚の付け根からカテーテルを挿入し、右心房から左心房に入れ、孔のそばでアンプラッツァーという形状記憶合金製の傘を2つ開き、挟むように孔を塞ぎます。時間とともに周囲に血管内皮ができ、完全に孔が閉じます」(福田教授)
患者の負担をより軽くするために、脚から挿入する心腔内心(しんこうないしん)エコーで治療を行なうこともある。経食道心エコーでは全身麻酔が必要だったが、心腔内心エコーは局所麻酔で治療が可能だ。脚の傷は数㍉程度で術後ほとんど目立たなくなり、入院は3泊4日と短く、退院後すぐに職場復帰が可能だ。ただし、カテーテル治療は、直径38ミリを超える大きな孔や、孔が大動脈に近い場所では使えず、手術となる。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年4月15日号