具体的には、〈各国と共同で歴史教科書を作成〉〈第二次世界大戦の記念碑建設〉〈竹島を韓国に譲る〉〈尖閣の施政権を国際仲裁裁判所に委ねる〉という柔和政策が掲げられている。日本が先の戦争について反省するとともに「侵略を考える国家ではない」という印象を広げるべき、ということだろう。

「竹島の譲渡はあってはならないこと。尖閣も同様。だが、東アジア諸国との宥和は重要だ。他の方法でそれらの国々の信頼を得ることを模索する必要はある」(潮氏)

 著者が描く未来にリアリティがあるからこそ、この筋書きが現実とならないよう「平時からの備え」が必要だと潮氏は強調する。

「『日本復興』が描く日本の軍事大国化は荒唐無稽なものではない。しかし、このシナリオ通りだと緊急事態に政府と国民がパニックに陥り、戦前のようになし崩し的な軍備拡張が進む恐れがある。だからこそ、平時から緊急時に備えて、安全保障関連の法整備をしておく必要があるのです」(潮氏)

※SAPIO2016年5月号

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