ビジネス

話題の「背表紙川柳」 期待されるのは集客効果だけではない

文庫本の背表紙を組み合わせて川柳を詠む

〈ストーカー ほとんど無害 たぶんねこ〉〈天と地と セーラー服と機関銃〉──。いまネット上で文庫本の背表紙を組み合わせて五・七・五の川柳を詠む「文庫川柳」が大流行している。

 このブームの火付け役となったのは、岩手・さわや書房本店の竹内敦店長だ。

「今年5月、当店でちくま文庫のフェアを開催した際、盛り上げるために考案したのが『文庫川柳』です。ちくま文庫は他社の文庫と違って、背表紙の色やフォントが共通している。その背表紙を並べて川柳にしたら面白いと思いました」

 竹内店長が最初に詠んだのが〈酒呑まれ 酒場めざして から騒ぎ〉と〈くいしんぼう いつも食べたい! ピスタチオ〉の2句。いまだにこれらを超える川柳は出来ていないという。

「文庫川柳」をツイッターで公開したところ、瞬く間に広がり、『君の膵臓が食べたい』が40万部のベストセラーとなった小説家の住野よるや社会学者・岸政彦ら著名人も参戦。アイドル評論家の中森明夫氏は、〈不死の人 生きているのはひまつぶし〉と詠んだ。

 ブームを知った紀伊國屋書店グランフロント大阪店では「文庫川柳」特設棚を設けた。客が売り場から自由に本を持ってきて川柳を展示するという試みだ。

「『Amazon』などネット書店が趨勢の今、リアル書店は店頭にお客さんに足を運んでもらうのが一番の課題。文庫川柳は本で遊べるピッタリの企画なのです」(紀伊國屋書店グランフロント大阪店・山本菜緒子氏)

「文庫川柳」がもたらすものは集客効果だけではない。

「川柳を考える中で背表紙のタイトルに意識を向けてもらうことで、新刊ではない既刊にも注目してもらえることを期待しています」(同前)

 最後に前出の創始者・竹内店長が「シニア世代のポスト読者のために」と詠んでくれた一句を紹介する。

〈わが秘密 「いき」の構造 筆まかせ〉

※週刊ポスト2016年6月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン