ホテル事業に積極的な「カラオケパセラ」の運営会社
ホテル業界は活況を呈している。従来の常識では考えられないコンセプトを打ち出すホテルも増加。シティホテル、ビジネスホテルといった区分では説明できないクロスオーバーなカテゴリー戦争・グレード合戦が激化する中、いま進化系ともいえるコンセプトホテルが利用者の圧倒的な支持を受けている。
そんなホテルで見られる特徴のひとつが、ホテル事業をメインとしない「異業種運営会社」による徹底した“無料サービス”だ。ホテル評論家の瀧澤信秋氏がレポートする。
* * *
話題のホテルが誕生すると全国各地へ取材に出向き、独自のチェックシートで得点やコストパフォーマンスなど算出する。そんな評論家の仕事を続ける中で殊に近年、凄い!というホテルの共通点が、ホテル事業をメインとしない経営会社や運営会社が手がけるホテル、言うなれば「異業種ホテル」だ。
例えば、群馬県高崎市の「ホテル ココ・グラン」高崎。2012年8月に誕生した全国チェーンでもない地方都市の一ホテルが脚光を浴びている。じゃらんアワード2013をはじめ、利用者の口コミ高得点での受賞が相次ぎ、いまやその名は全国区になっている。
しかし、経営会社はホテル専業ではなく人気スイーツを全国各地で販売する製菓メーカー。これまで都内で小規模なビジネスホテルを所有・運営してはいたが、全国にその名を轟かせるホテルを誕生させたのには驚きだ。
実際ホテルを取材すると、ホテル業界の常識では考えられない発見が多い。ホテルの開業にあたり数々のホテルを巡りひたすらチェック、“ホテルのプロ”の手を借りることはほとんどなかったという。
一方、都内の繁華街一等地で目にする「カラオケパセラ」。人気カラオケ施設としてご存じの方も多いことだろう。運営会社の「ニュートン・サンザグループ」は、カラオケパセラ以外にも、レストランやウエディング施設、フォトスタジオからいまブームのコワーキングスペースまで幅広い事業展開をしている。ホテル専業の会社ではないが、近年ホテル事業への取り組みにも積極的だ。
展開する施設はいずれも人気を博し口コミ得点もハイスコア。都心の進化系カプセルホテルから宿泊主体型ホテル、伊豆方面のリゾートホテルといまや宿泊事業は同社のメイン事業のひとつに成長した。共通するのは“バリ”をイメージした非日常感の演出、そして無料サービス続出のお得感だ。