脚本の三谷幸喜から演技に「オッケー」をもらったそう


鈴木:一番幸せだったのは、最初のころですよね。家族みんなが中庭に集まって、里芋を「熱い熱い」と言いながら食べました。里芋の皮ごと食べる秀吉のかわいらしさといったら。「皮を剥いてちょうだい!」と、ついアドリブで台詞が出たくらいです(笑い)。あの時が、みんなが揃った、唯一の幸せなシーンでした。

 晩年では膝枕をして一緒に過ごす場面もありますけど、秀吉はだいたい、戦や茶々のことを考えていました。だから夫婦として楽しいのは、最初のシーンだけだったと思います。

――母性は意識されていますか?

鈴木:はい。秀吉に対しても、母性でいつも傍にいたと思います。実はもっと周りの子供たちに対しても、たとえば虎之助(加藤清正)の肩を抱いてあげたり出来たらよかったんですけど……。アドリブでいきなり抱きついたら、新井浩文さんも驚いたでしょうね(笑い)。

 寧として、茶々やきりちゃん、他の女中たちに優しくしているところは、意識しました。ただ、秀吉以外の武将たちをどれくらいかわいがっているのか、はかりかねたんです。母性が大事と挑んでいたにも関わらず、もうちょっとできたらよかったというのが、反省点です。

――今回は大阪城から出演で、秀吉と寧との出会いは描かれていません。演じにくかった?

鈴木:色々な作品を通して知っている秀吉と寧の関係性を、小日向さんと私に置き換えました。過去に出演させていただいた映画『清州会議』でも秀吉と寧を見ていますし、撮影に入るまで時間がありましたので、以前の大河ドラマの秀吉と寧を見たりしました。

 だから、たくさんの思い出が、小日向さんを看取るときに出てきたんですよ。実際それは、西田敏行さんと佐久間良子さんのエピソードだったりするんですけど、私の中では、私と小日向さんが過ごした感覚になっていたんです。

 だからでしょうね、殿下が亡くなる寸前なのに、微笑んでしまったんです。視聴者の方に、腹黒い女に映っていたらどうしようと思いました(笑い)。あんなことも、こんなこともあったわねと思いながら小日向さんを見ていたら、自然に笑みがこぼれてしまって。

 それは小日向さんに対しても感謝しています。これまでの素晴らしい作品がたくさんあって、私と小日向さんに置きかえればいいだけでしたので、どんな歴史が2人にあったのかは苦労せず、心の中で描けました。

――オファーの際、三谷さんから役の説明はありましたか?

鈴木:肝っ玉かあさんで、と言っていただきまして。体重10kg増やして挑んでくれと言われました。「打掛を着ているので、10kg増やしてもわらないと思います」と私は言ったんですね。10kg太るのは、他の仕事のことを考えると、どうかと思いまして(笑い)。

 そうしたら三谷さんに、「じゃあ、顔だけ10kg太ったようにしてくれたらいいです」と言われたんです。だから、できるだけお水をたくさん飲んで、むくんだまま撮影に行きました(笑い)。

――オンエア後、三谷さんから感想を聞きましたか?

鈴木:太ってはいないんですけど、オッケーがでているので、顔は太って映っているんだと思います(笑い)。三谷さんもお忙しいですし、なかなかお会いしてお話を伺うチャンスがないんですけど、怖くて聞けない、という気持ちもあります。

『真田丸』だけじゃないんですけど、大河は普段、ご一緒できない方たちと共演させていただくわけです。堺(雅人)さんが素晴らしい、草刈(正雄)さんも素晴らしい、小日向さんも素晴らしいと、皆さん素晴らしいことがわかるので、そこで自分が期待に応えられているのか、あまり自信がないんです。

 三谷さんに電話して「今回の私、どうですか?」と自信を持って聞けるベテランにいつかはならないといけませんね(笑い)。

【鈴木京香(すずき・きょうか)】
1968年5月31日生まれ。宮城県出身。大学在学中に映画『愛と平成の色男』で女優デビュー。1991年NHK朝の連続テレビ小説『君の名は』主演。ほか、映画やドラマ、舞台などで活躍中。9月より舞台『家族の基礎~大道寺家の人々~』(渋谷区・Bunkamuraシアターコクーン)の主演を務める。

◇NHK大河ドラマ『真田丸』
毎週日曜、NHK総合20時、BSプレミアム18時放送。後世に真田幸村の名で「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」と評されることになる、真田信繁の成長物語。三谷幸喜脚本。

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