◆患者が「選ぶ」時代に
重要なのは、患者が自らの年齢と実現したい性生活のバランスをどう考えるかだと頴川教授はいう。
「70代や80代で、60%でも70%でも機能が残れば御の字と考える人もいるし、手術前には『絶対に勃起能を残したい』と訴える人もいる」
強い放射線を照射すれば、周囲の血管や神経も巻き添えにして痛めてしまうリスクがある。女性ホルモンを投与してがんの進行を抑えるホルモン療法にも、勃起能や性欲が落ちるという副作用がある。治療法の選択肢が多くなったことによって、何が自分にとって最善かを考えることが前立腺がん治療では重要になってきた。
早期の発見と治療法の進化により、前立腺がんとの向き合い方は、大きく変わりつつある。
※週刊ポスト2016年10月28日号