それを裏付けるのが、市民ランナーを盛り上げるゲストランナーとして参加した藤田敦史・駒澤大コーチの動きだ。マラソン日本歴代2位の記録保持者の藤田はサングラス装着の本気モード。隠した視線の先には、青学大エースの一色恭志(4年)と田村和希(3年)がいた。白の練習用ユニフォームでペース走に終始した一色たちを、藤田はピタリと追走したのだ。一色たちのフォームや息遣いから「付け入る隙はあるか」と探っていたに違いない。やはり「ストップ青学」の執念は尋常でない。
駒澤陣営からはレース後、「箱根には中谷(圭佑・4年)が戻ってくる」という発言があった。「今日は競り負けたが、まだ真のエースがいる」と、他校の監督の構想を揺さぶるのだ。
思い返せば全日本で、駒澤大は前日まで「1区・中谷」をエントリーし、監督は「中谷でレースを作りたい」と語った。それを意識したか酒井俊幸・東洋大監督は当日、1区にエース・服部弾馬(4年)を配した。一方の駒澤大は当日、1区を工藤有生(3年)に変更。監督たちの静かな攻防だ。
出雲・全日本で走れなかった中谷は世田谷246も上尾もエントリーせず。故障と思われるが、本戦一発勝負の可能性がある。どんな走りになるか見ものだ。
※週刊ポスト2016年12月2日号