「血糖値スパイクは、食後起こる一過性の過剰な血糖値の上昇で、“食後過血糖”と呼ばれるもの。糖尿病とはまだ診断されませんが、頸動脈エコー検査をしてみると、驚いたことに動脈硬化が進行していました。
現実に、順天堂大学病院に心筋梗塞や脳梗塞で入院した約70%が糖尿病ですが、約20%が食後過血糖の状況だったのです。血糖値スパイクを繰り返すと、血管壁を障害する物質が接着する様子も、動物実験で観察されました」
このほか、認知症やがんを誘発する一因ともいわれており、自覚症状がないまま健康寿命を奪う、新たなサイレントキラーともいえる。
◆高血糖が続くと“オートファジー”がへばって糖尿病に
「わずかな血糖値スパイクを放置していると、大切なインスリンが分泌されなくなり、高血糖が持続する状況になってしまいます。その理由に、昨年末に大隅良典さん(東工大栄誉教授)がノーベル賞に輝いた“オートファジー”がかかわっていたのです。インスリン分泌細胞がフル回転できるのは、細胞内の掃除屋機構であるオートファジーのおかげだが、オーバーワークが続くと、オートファジーがへばって細胞死に陥ってしまうことを、10年前に私共の研究で証明しました。
すなわち、“たいしたことではない”と放置していると、取り返しのつかない異常を引き起こしてしまうことになります。血糖値スパイクがあると判明したことは、むしろラッキーだったと捉え、すぐに食生活を改善しましょう。血糖値スパイクは、早く手を打つと、実はとても簡単に改善できるのです」
※女性セブン2017年1月19日号