◆日本は婚外子が異常に少ない
少子化対策のためには、結婚か否かの二者択一ではなく、中間のバラエティを増やすことが必要だ。欧米の婚外子率は概ね50%前後であり、籍を入れずに同棲しながら子供を育てるのが一般化している。
日本でも事実婚のカップルが育児をしたり、お金持ちの男性が複数の女性との間に子供をもうける事実上の一夫多妻的な家庭があっていいと思う。今でこそ日本の婚外子率はわずか2%に過ぎないが、かつて昭和初期頃まで妾という立場は世間にありふれた存在だった。
現在でも、法律婚による正妻のほかに事実婚による愛人がいて、その子供を養育するケースはあるし、それを妻が認めている場合もある。婚外子は法律上も嫡出子と何ら差別されない。片親家庭には児童扶養手当が加算されたり、保育園も優先的に入れたりするなど、不利どころか、むしろ有利だ。
すると、婚外子という選択を阻む壁は、「子供を産むには結婚しなければいけない」という社会規範=思い込みだけということになる。
事実婚や不倫だとしても、女性がもっと自由に、好きな男性の子供を産めるようになればいい。また、富裕層が、多くの異性から求められて子供が増えるのであれば、少子化改善とともに、富の再分配にもなり、一石二鳥である。
【PROFILE】藤沢数希●理論物理学研究者、外資系金融機関を経て、作家。ブログ「金融日記」管理人。メルマガ「週刊金融日記」発行中。主な著書に『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』(ダイヤモンド社刊)、『「反原発」の不都合な真実』(新潮新書)、『ぼくは愛を証明しようと思う。』(幻冬舎刊)などがある。
※SAPIO2017年5月号