「1兆3000億円のうち、他の自治体が負担できる金額はわずかだ。最も重要なのは国がいくら面倒を見てくれるか。都と国の分担の枠組みがどうなるかわからないのに、他の自治体の金額を出すのは難しい」(都庁幹部)からだ。
ところが、肝心の政府はビタ一文出さない姿勢なのだ。組織委員会関係者が語る。
「財務省はもともと五輪に金を出さなくていいようにOBの武藤敏郎・元事務次官を組織委員会事務総長に送り込んだ。しかも、麻生太郎・財務大臣は地元・福岡の補欠選挙に小池氏が乗り込んできて鳩山二郎候補を応援し、自分が支援した候補を落とされた遺恨がある。
菅義偉・官房長官も小池氏が五輪の競技場見直し問題で横浜市を候補に挙げながら、結局は元の案に戻して地元を引っかき回されたことに怒っている。2人とも小池知事に協力する気は全くない」
麻生氏も菅氏も森元首相に近く、丸川珠代・五輪担当相にいたっては「森さんの子飼い」といわれる。
何より森氏自身が〈東京都には五輪を成功させる責務がある。これまでのように困ったら国に泣きつくでは、駄目だ〉(『文藝春秋』、2013年11月号)といった具合に、財政的に国におんぶに抱っこになる姿勢は容認しないと言明してきた経緯もある。森人脈による包囲網が小池氏に五輪費用で“兵糧攻め”を仕掛けている構図だ。