他の心房細動の要因としては、甲状腺機能亢進症(こうしんしょう)と睡眠時無呼吸症候群がある。甲状腺機能亢進症はバセドウ氏病といわれ、甲状腺ホルモンが上昇し、眼球突出、発汗、手の震え、頻脈などの症状があり、頻脈が重症化すると心房細動を発症する。睡眠時無呼吸症候群は、就寝中に大いびきをかき、ときに呼吸が止まることもあって、血液中の酸素濃度が下降し、結果的には心臓に負担がかかり、心房細動を起こすこともある。

「心房細動と診断されたら、まずは脳梗塞発症のリスクを評価することが大切です。年齢、既往症(きおうしょう)から患者さんごとにスコアを計算、ある基準を満たすようであれば、血液をサラサラにする薬を内服すべきです。以前はワルファリンという薬しかなく、食事制限と血液検査による厳格な用量調節が必要でしたが、最近ではその必要がないDOACという薬が発売され、内服しやすくなり、安全性も高くなっています」(桑原院長)

 心房細動の患者は高齢化とともに増加傾向にある。かつての心房細動の治療は、安静と投薬、電気ショックなどの対症療法しか選択肢がなかった。しかし、現在では医療技術の進歩によって、心房細動の原因となる高頻度で興奮する心筋を探し出すことができるようになっている。その場所に通電し、焼灼(しょうしゃく)するカテーテルアブレーションで、多くの心房細動が根治可能になった。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年5月26日号

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