地元住人が不安視するのには理由がある。2010年、新千歳空港から車で15分ほどの高台に、中国人富裕層のための別荘17棟が建てられた。が、その後、開発した家具・インテリア販売会社が同地に「1万人の中国人が住む1000棟の別荘」を建設する計画だったことが発覚したのだ。
同じようなケースは他にもある。中国の不動産開発・投資会社『一達国際投資集団』(北京)は北海道喜茂別町の会員制リゾート施設「喜茂別町ゴルフ別荘」の約80ヘクタールの区画を取得。造成後にアジア富裕層向けに販売する計画を2014年に発表した。が、こちらも現在に至るまで開発は進まず、地元住民らが不安を募らせている。
複数の日中関係者によれば、中国による日本の土地買収工作が本格化したのは2008年からとされる。当初は水源地近くの山林やリゾート開発事業を名目に土地を買い漁る事例が多数報告され、前出の伊達市のゴルフ場のケースなどもその一例だ。鹿児島県霧島市でも2014年、350ヘクタールもの広大な山林が中国系企業に買収されたことが発覚し、問題となったことがある。
※週刊ポスト2017年6月9日号