「私たちはゲームセンターむけの体感ゲーム機器を開発してきました。常にテーマとなってきたのは『どうしたら本物の体験やリアルな感覚に近づけるか』という点でした。例えば、馬にまたがって競馬をするゲーム、足元がスライドするスキーゲームのように体を動かしつつ映像と組み合わせて、よりリアルに、ワクワクさせる方法を追求し試行錯誤してきたのです。ただ、映像の再現が難しかったんです」

 人間の感覚の特徴を研究し、映像に包まれる没入感や身体を刺激することで臨場感を高める工夫に挑み続けてきた同社。そこへ、手軽な価格でハイスペックなゴーグルなど新たなVR機器が続々と登場してきたのだ。

「VRが出てきたことで映像の課題が解決でき、今やっと、蓄積してきたノウハウを生かしてやりたかったことが実現。時代が我々に追いついてくれた、と感じます」

 まさに「鬼に金棒」だ。しかし、それにしても今回の料金「4400円」は少々お高いのでは?

「たしかにゲーセンといえば 100円でワンゲームというイメージですよね。しかし私たちの狙いは、ゲームセンターのイメージを完全に脱すること。予約制で4400円という料金設定も、それに見合う高い品質と価値のある娯楽を提供する、という宣言です」

「ゲーム」とは呼ばずに「VRアクティビティ」と敢えて名付けた理由もそこにあったのだった。

 今やアミューズメント施設市場は少子化等の影響もあり停滞気味。そんな現状に新鮮な刺激を与え次の時代の可能性を拓こう、という意気込みだ。仮想の映像世界は、言ってみれば無限の広さを表現できる。「面積効率が非常に良い遊園地」と捉えることもできる。田宮氏の口調から、「VRはビジネスとして成立する」という揺るぎない自信がのぞく。

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