加計問題については、社説で〈国家戦略特区の認定手続きをいったん白紙に戻し、プロセスを踏み直すべきだ〉(7月25日付)、〈国民の知る権利を踏みにじる行い〉(8月11日付)と厳しく追及してきたことと比べると温度差がある印象だ。

 そうしたなかで注目すべきは、国福大に“天下り”しているのは、元官僚だけではなかったことだ。

◆“吉田調書辞任”社長が「特任教授」に

「国福大には、朝日の大物OBが教授や理事として“再就職”している。さらに今春から、木村伊量(ただかず)前社長も『特任教授』として同大学院の乃木坂スクールで公開講座を週に1度行なっている」(朝日新聞関係者)

 同大では、朝日新聞の論説委員だった大熊由紀子氏が2004年、国際福祉大学院の医療福祉ジャーナリズム分野の教授に就任。2005年に退任した箱島信一元社長も2007年から大学の理事(非常勤)を務めている。

 今春から「特任教授」になった木村氏の活動については、〈わたしたちはどこへ向かうのか~近代への旅・現代文明への問い~〉なるテーマの講義を9月から計15回行なうとして受講者を募っている。前出・朝日新聞関係者は言う。

「朝日が疑惑を追及する『国家戦略特区』で医学部を新設した大学ですから、あまりにタイミングが悪いというしかない」

 木村前社長は、2014年に朝日新聞の慰安婦報道や福島第一原発の吉田調書報道の誤報を認め、会見で謝罪。責任を取る形で辞任した。

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