無論、子どもを受動喫煙から守るという目的そのものに異を唱える者はいないだろう。実際に、子どものいる喫煙者からは、すでに家庭内では換気扇の下やベランダで喫煙していたり、子どものいるリビングでは一切喫煙しなかったりするという話をよく聞く。多くの喫煙者が自主的に受動喫煙を防ぐ傾向にある中、公権力が私的空間にまで踏み込む一律規制を課すには検討の余地は十分に残されているはずだ。
今回の条例は罰則のない「理念条例」であり、児童虐待防止法のような通告義務や立ち入り調査などは盛り込まれてはいない。
「ただし、条例には施行後に検討を加えて必要な措置を講ずると記されており、今後は罰則規定の追加もあり得る。ましてや都の条例と同じ趣旨で豊島区がまとめようとした条例案(現時点では区議会への提出見送り)には公権力に通報できる条項まで盛り込まれた経緯もあり、その行方は注意深く見ていく必要がある」(前出・玉巻氏)
※SAPIO2017年11・12月号