民間放送が毎晩、1時間以上のニュース番組をやるというのは初めての試みです。だから、経営的に成功すれば、あとは何をやっても大丈夫だろうと思いました。
たとえば、NHKのアナウンサーはとても厳しい職業で、ニュース原稿に手を入れようものなら即座にクビになるという世界です。でも、僕はアドリブで平気で変えた。かなり自由にさせてもらいました。照明やセットについても深く考えました。
夏はスタジオ全体を少し青くして涼しい感じを出そうとか、冬は暖色にして、なんとなく温かい感じを出そうとか。セットとはいえ、窓の外がいつも同じなのは変じゃないか。木があるのなら、秋になったら紅葉するだろう、とか。
歌番組では当たり前のように行なわれている演出を、ニュース番組に持ち込んだんです。
『ニュースステーション』が軌道に乗った頃、CNNが取材に来ました。
「『ニュースステーション』をやる以前は、歌番組の司会をやっていました。その前はクイズ番組と料理番組の司会です」と言ったら、CNNの連中は腰を抜かしていましたね。そんなことはアメリカでは考えられない、と。
アメリカのニュースキャスターは、地方局のレポーターから始めて、ニューヨークやロサンジェルスの大きな放送局に引き抜かれ、最終的にウォルター・クロンカイトやダン・ラザー(いずれも『CBSイブニングニュース』のアンカーマン)までキャリアアップしていく。