中でも、トランプ政権の本質は、金融利権と対中権益の確保であり、その証拠に親中派でウォール街に近いキッシンジャー元国務長官の人脈や娘婿のクシュナー上級顧問が政権中枢で幅を利かせている。
かわりに政権発足時に脚光を浴びていたスティーブ・バノンやピーター・ナバロといった対中強硬派は政権外に追いやられたか格下げされた。トランプ自身、ニューヨーク出身のビジネスマンなのだ。
日本のメディアはあまり報じなかったが、米中首脳会談の直後、実は「驚天動地」の出来事があった。中国財政省が国内金融市場への外資企業の参入規制を緩和すると発表したのだ。
中国で外資の金融機関が証券=投資業務を手掛ける場合、中国企業との合弁会社を設立する必要がある。これまで合弁会社の外資出資比率は49%が上限だったが、それを緩和して51%に引き上げ、将来的には外資が100%出資する現地法人の設置を認めるという。実はこれは画期的なことであり、今後の中国と米国の関係に大きな転機をもたらすだろう。
今回の首脳会談では中国がボーイング社から航空機300機を購入するなど約28兆円の巨額商談が成立し話題となったが、人口約14億の国の金融市場が開放されれば、はるかに巨大なインパクトを持つ。「28兆円の買い物」などとは一桁も二桁も違う大マーケットの開放なのだ。
ウォール街の喜びようが目に浮かぶ。世界経済の核心である金融利権で固く結ばれることで米中の一体化はより進むはずだ。