井の頭公園からの1枚(撮影:細矢氏)


「結婚式の二次会で、お座敷列車を6両借りきって『寿 細矢号』を走らせました。妻の家に挨拶に行った時、相手の父親に結婚の承諾を求め『いいだろう』と言われた次の瞬間、『ところでですね、ちょっと私からお願いがありまして、結婚式の二次会で列車を走らせたいので、ご了承を頂きたいんです』と言いました(笑い)。それほど、私の念願だったのです。

 それでJRのビュープラザで『お座敷列車を1編成貸して下さい』と言って、200人前後集めて借りきったのです。列車は品川から出発するのですが、新居が赤羽の線路沿いにあるので、絶対赤羽は通りたかった(笑)。それで赤羽をルートに入れて、新居にハートの目印を付けて、『まもなく新居が見えて参ります』なんて放送を流して……そうしたら徐行してくれました。引っ張る機関車も『EF58 61』という天皇陛下が乗るお召し列車で利用される機関車を指定しました」

 長年、京王各線で運転士として務めた経歴を持つ細矢さん。泊まり明け勤務の後に撮影に行くため、カメラ持参で出勤したことも多かったという。そんな細矢さんは長年、地域社会との交流活動の一環として、保育園・幼稚園・小学校・児童館などに足を運び交通マナーの“出前授業”を行っているそうだ。

「交通マナー教室は、20年ほど前からやっています。電車の正しい乗り方、車内マナー、踏切の事故防止などについて教えています。加えて最近依頼が多いのは、キャリア教育の出前授業です。小学6年生に、運転士や鉄道会社の仕事の話をして、『将来どんな人になりたいのか?』ということを考えるきっかけ作りをするのです。

 私は、『小さい頃の夢を叶えて、それを仕事にした大人は9%しかいないんだよ。だからみんなには是非、いま夢があるなら、それに向かって一歩一歩進んでいって欲しい』と言っています」

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