「友人はまだ40代でした。闘病中、ドライマウスや口内炎など、食べられない条件が揃っていたのですが、30kg近くやせてしまった。それを見て、医療はなぜ“食べること”に対しては何もケアしてくれないのだろうと思ったのです。

 それで調べ始めたのですが、5年前には情報がほとんどなく、取材先を探すのも大変でした。刻み食も、父が闘病中の時点で専門学会ではすでに嚥下食として『不適切な場合もあり』とされていたのに、父の場合は検討もされずに提供されていました。

 家庭でも同じ。元気な私たちが食べられない感覚を理解するのは難しいですね。家庭介護では今も“お年寄りにはとりあえず細かく刻む”が常道では? でもその人が食べやすいかはわかりません」

 最近は世の中でも“嚥下”というキーワードが注目だ。

「確かにここ3年くらい、医療や介護現場で“食べるケア”の広がりが目覚ましい。とはいえ食べることは生活の一部。高齢者は病気でなくても食べる機能が衰え、悪化のスピードは思いのほか速い。食べられているかを見守るのはやはり家族の役割だと思います。

 困ったら、食支援に詳しい歯科医、管理栄養士に相談を。最近は自治体でも介護予防教室などが盛んに行われているので、講師を買って出ている熱心な医療者・介護職の人の名前を要チェック。地元で相談できる専門家を知っておくと、大きな力になります」

※女性セブン2018年2月1日号

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