「鳥取県のような地方の人間は、“車を奪われたら生きていけない”というのも決して大げさではありません。専門医として問題だと思うのは、“認知症=運転してはいけない”と乱暴に規定してしまっている現状です。
例えば軽度のアルツハイマー型認知症なら、それほど運転技術が落ちているわけではない。ただ、1人だけだと道を忘れてしまうかもしれない。仮免許のように、免許を持つ家族などが助手席で補助する場合に限って運転を認めるというような柔軟な運用も検討できる。また、運転免許の更新ができなかった人に対してサポート体制を敷くことなども同時に考えていくべきでしょう」
法律の文言だけで「ハンドルを握らせるか、握らせないか」を選別するのは簡単だが、その影響を受ける人、責任を負わされる人がいる。高齢ドライバー問題の本質的な解決のためには、そうした現実にも目を向ける必要がありそうだ。
※週刊ポスト2018年4月27日号